モスクワ中央通貫鉄道3号線が開通

(ロシア)

調査部欧州課

2023年08月24日

ロシアで817日、モスクワ市北西部の飛び地ゼレノグラード地区とモスクワ市南東部にあるラメンスコエ市を結ぶモスクワ中央通貫鉄道(MTsD3号線(D3)が開通した。路線距離は85キロメートル。当面は38駅で運営、将来的にさらに3駅が開業し計41駅となる予定。このうち14駅で地下鉄、モスクワ中央環状鉄道(MTsK)、郊外電車停車駅と接続する。大部分は既存の鉄道路線を活用し、一部に新たな線路を敷設しそれらを接続することでMTsD3号線とした。

写真 地下鉄出口からの乗り換え案内板(ジェトロ撮影)

地下鉄出口からの乗り換え案内板(ジェトロ撮影)

MTsD201911月に、2路線が先行して開通している(20191127日記事参照)。MTsD開通以前は、郊外からモスクワ市内に電車で移動する場合や、モスクワ市を経由してモスクワ近郊の都市間を移動する場合は、モスクワ市中心部の鉄道主要駅で地下鉄に乗り換える必要があった。MTsDの開通で、モスクワでの乗り換えなしで郊外間の移動が可能になり、移動時間の短縮と都心部の地下鉄の混雑緩和が実現した。

写真 次の停車駅や乗り換えを案内する車内電光掲示板(ジェトロ撮影)

次の停車駅や乗り換えを案内する車内電光掲示板(ジェトロ撮影)

D3の開通は、モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長が2010年の就任以来進める交通網整備の一環(2023315日記事参照)。モスクワ市政府は、D3の開通により、同路線に接続する地下鉄路線で最大15%の混雑率の低下を見込む。またモスクワ市内、モスクワ市と近郊都市間の道路では1日約6,900台相当の自動車交通量が減少し、排気ガスによる大気汚染の改善も期待されている。

開通式には、ウラジーミル・プーチン大統領、モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長、モスクワ州のアンドレイ・ボロビヨフ知事、ロシア鉄道のオレグ・ベロジョロフ社長が参加した。MTsDは、20239月にモスクワ市郊外の東部と南西部とを結ぶ4号線の営業開始を予定するほか、将来的にはモスクワ市郊外の南部と北東部とを結ぶ5号線まで敷設が計画されている。

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