ジャカルタ首都圏LRTが正式に開業、交通渋滞緩和などに期待も
(インドネシア)
ジャカルタ発
2023年09月08日
インドネシアの首都ジャカルタと周辺都市(ボゴール、デポック、ブカシ)を結ぶ軽量高架鉄道、LRT(Light Rail Transit)ジャボデベックが8月28日、正式に開業した。建設、車両製造、運行はそれぞれ国営企業が担っている。独立記念日翌日となる8月18日の開業が予定されていたが(2023年7月24日記事参照)、運行システムなどに問題が見つかり、当初の予定より遅れての開業となった。
LRTジャボデベックは、ジョコ・ウィドド大統領が大統領令2015年第98号を施行し、建設事業者に認定された国営建設企業アディ・カルヤが2015年9月に着工してから約8年をかけての運行開始となった。総事業費は32兆6,000億ルピア(約3,130億円、1ルピア=約0.0096円)。ジャカルタに出入りする車両を減らし、渋滞緩和を図ることを目的の1つとし、ジャカルタと東部の工業地帯を結ぶチカンペック高速道路、ジャカルタとボゴールを結ぶジャゴラウィ高速道路に沿うかたちで敷設されている。
8月28日に開業を宣言したジョコ大統領は、ジャカルタは常に世界で渋滞が多い上位10都市に含まれていると指摘しつつ、「LRTジャボデベックが交通渋滞や大気汚染の緩和につながることを願う」と述べた(運輸省プレスリリース8月28日)。
なお、運輸省は、2024年2月末までは運賃を割引くことで、自家用車の利用からLRTジャボデベックへの利用切り替えを促すとしている(運輸省プレスリリース8月27日)。
LRTの運行会社である国鉄クレタ・アピ・インドネシア(KAI)の9月1日付プレスリリースによると、初日(8月28日)の利用客は6,475人、2日目は2万8,381人、3日目は3万519人、4日目は3万1,051人と、開業後、利用客数は徐々に増加している。
一方、KAIの広報担当副社長のジョニ・マルティヌス氏は、開業後、一部で運行上の不具合が発生していることに対し、「ブレーキ、エアコン、ドアの開閉、電光掲示板の表示などで一部不具合が発生していることについて、利用客の皆様に対して深くおわびを申し上げる」と謝罪の意を表している(運輸省プレスリリース8月30日)。
(八木沼洋文)
(インドネシア)
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