第2四半期GDP、戦争勃発後初のプラス成長に

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2023年09月28日

ウクライナ国家統計局の発表(9月22日)によると、同国の2023年第2四半期(4〜6月)の実質GDP成長率は前年同期比19.5%だった。2021年第4四半期(10~12月)以来となる6期ぶりのプラス成長で、前期の伸び率と比べて30.0ポイント改善した。前期比(季節調整済み)ではプラス0.8%だった。

ユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相は、成長率が同省の見通しを若干上回ったとし、「(ウクライナ)経済が戦争状態でも機能すべく適合したことを示している」と評価した(経済省発表9月22日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。前向きな傾向がほぼ全ての経済活動分野に示されたとし、その要因として、国内企業の柔軟性と適応性、政府のビジネス支援措置や経済対策、パートナー国からの国際支援を挙げている。

経済省は、国内需要の回復には、政府が行う企業支援プログラムのほか、生産調整の継続、政府やパートナー各国から提供された資金による生産施設やインフラ施設の復旧作業が特に寄与したと分析している。

また、第2四半期では、ウクライナ産穀物輸出に関する合意「黒海穀物イニシアチブ」が機能していたことと(注)、新たに確立された物流ルートなどを通じた貿易が行われたことも、経済成長にプラスの影響を与えたとしている。

ウクライナが、ロシアの侵攻による戦争勃発以来の経済低迷から本格的に回復しつつあることは、ウクライナ国家統計局による景況感指数からも裏付けられる。第2四半期の同指数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは109.4ポイントを記録し、2022年第1四半期以来5期ぶりに基準値となる100ポイントを超え、景気良好を示している。

なお、ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は2023年通年のGDP成長率予測について、5月時点の2.0%から0.9ポイント上方修正し、2.9%のプラス成長としている(2023年8月7日記事参照)。

(注)ウクライナ産穀物輸出に関する合意「黒海穀物イニシアチブ」は2023年7月に効力が停止した(2023年7月20日記事参照)。

(柴田哲男、坂口良平)

(ウクライナ)

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