米FRB、政策金利の誘導目標を5.25~5.50%に据え置き

(米国)

ニューヨーク発

2023年09月21日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は9月19~20日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を現在の5.25~5.50%に据え置くことを決定した(添付資料図参照)。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の調査では市場関係者の99%が政策金利の据え置きを予想しており、今回の決定は市場の予想どおり。据え置きの決定は参加者12人の全会一致だった。

発表された声明文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、経済は「堅調に拡大している」とし前回会合の声明文(2023年7月27日記事参照)から上方修正、雇用は「このところ減速してはいるものの、依然として強い」として若干の下方修正をした以外は、前回の声明とほぼ同じ内容だった。

FRBのジェローム・パウエル議長がFOMC後に行った記者会見PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、最近の経済情勢についての認識も示された(添付資料表参照)。実質GDP成長率は予想を上回っており、消費支出に関する指標は特に堅調とする一方、金利上昇が住宅投資や企業の設備投資を圧迫しているとした。金融政策の決定に最も関連する雇用と物価の指標に関し、雇用については、(1)雇用者数は年初のペースを下回っているものの強いペース、(2)失業率(8月:3.8%)は上昇したものの依然として低い、(3)労働参加率は上昇、(4)賃金上昇はいくらか緩和の兆し、(5)求人数は減少、など個別の指標に触れながら、全体としては引き続き逼迫しているが、良い方向に労働需要と供給のリバランスが進んでいるとした。

物価については、「2022年半ば以降幾分緩和し、長期的な期待インフレ率も安定しているが、インフレ率を持続的に(FRBが目標とする)2%にまで下げるプロセスには長い道のりがある」と前回会合の認識から変化はなかった。なお、最近のエネルギー高(2023年9月14日記事参照)に関しての言及はなかった。

こうした現状認識の下、現在の金融政策が経済活動や雇用、物価に下方圧力をかけていることに加え、家計や企業の信用逼迫による逆風にも直面していることなどから、政策金利の誘導目標を現在の水準に維持することとした、と今回の決定の理由を説明した。

(加藤翔一)

(米国)

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