華東地域3省の上半期GRP成長率は大幅拡大
(中国)
上海発
2023年08月07日
中国の華東地域3省(江蘇省、浙江省、安徽省)の各統計局は2023年上半期の主要経済指標を発表した(注1)。各省の域内総生産(GRP)は、江蘇省が前年同期比6.6%増の6兆465億元(約120兆9,300億円、1元=約20円)、浙江省が6.8%増の3兆8,717億元、安徽省が6.1%増の2兆3,073億元となった。3省のGRP成長率いずれも2022年通年より大幅に伸びが拡大し、中国全体の2023年上半期のGDP成長率(5.5%)(2023年7月19日記事参照)を上回った(詳細は添付資料表参照)。
江蘇省の一定規模以上の企業(注2)による工業生産増加額(付加価値ベース)は、前年同期比8.3%増となった。産業別にみると、先端技術産業や戦略的新興産業(注3)が大幅に増加し、全体に占める割合はそれぞれ49.6%、41.1%だった。このうち、新エネルギー車の製造が86.5%増、太陽光発電設備および部品の製造が36.9%増、リチウムイオン電池の製造は28.8%増だった。また、新エネルギー車、充電スタンド、太陽光電池、車載用リチウムイオン電池の生産量はそれぞれ72.2%増、2.4倍、44.5%増、18.6%増となった。
浙江省の一定規模以上の企業による工業生産増加額は、前年同期比4.7%増だった。産業別にみると、新エネルギー産業が25.9%増、設備製造業が9.4%増、デジタルエコノミーコア産業が8.4%増となった。また、サービス業は8.4%増だった。このうち、交通運輸業が14.6%増、ソフトウェアと情報技術サービス業が12.5%増、賃貸管理ビジネスサービス業が12.3%増、金融業が10.6%増、卸売・小売業が6.6%増となった。
安徽省の一定規模以上の企業による工業生産増加額は、前年同期比6.9%増だった。業種別にみると、鉱業が0.5%減、製造業が8.4%増、電力・熱・ガスおよび水の生産・供給業が0.1%増、設備製造業が15.3%増となった。また、製品別では、集積回路、太陽光電池および工業ロボットが大幅に増加し、それぞれ70.2%増、64.8%増、31.2%増だった。
その他の指標に目を向けると、華東地域3省の社会消費品小売総額はGRP成長率を上回る伸びを示したが、不動産開発投資額は、江蘇省(2.3%減)、安徽省(15.2%減)ともに減少した(浙江省は未発表)。また、貿易総額は減少もしくは伸び率が縮小した。うち、輸入額をみると、江蘇省は9.4%減、安徽省は13.4%減と減少が目立った。
なお、2023年のGRP成長率については、1月に江蘇省が5%前後、浙江省が5%以上、安徽省が6.5%前後の目標を掲げた(2023年2月6日記事参照)。上半期の実績では、江蘇省と浙江省は目標値を上回ったが、安徽省はわずかに下回った。
(注1)浙江省は7月20日、江蘇省は7月21日、安徽省は7月30日に発表。
(注2)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。
(注3)次世代情報技術、バイオ医薬、デジタル経済、ハイレベル設備製造、新素材、海洋経済、グリーン低炭素の産業を指す。
(宋青青)
(中国)
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