上半期の実質GDP成長率、前年同期比5.5%、第2四半期は6.3%

(中国)

北京発

2023年07月19日

中国国家統計局は717日、6月までの主要経済指標を発表した(添付資料表参照)。16月の実質GDP成長率は前年同期比5.5%、第2四半期(46月)は6.3%となり、前四半期(202313月、4.5%)と比べて1.8ポイント上昇した(添付資料図参照)。

16月の投資(固定資産投資)は、不動産開発投資が前年同期比7.9%減(13月から2.1ポイント下落)と減少幅が拡大したことなどにより、13月から1.3ポイント減速し、前年同期比3.8%増となった。インフラ投資は7.2%増と、13月から伸びが1.6ポイント縮小した。

16月の消費(社会消費品小売総額)は前年同期比8.2%増だった。月次ベースでは商品の消費とサービス消費の伸びがともに減速し、6月の伸びは前年同月比3.1%となった。

16月の工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比3.8%増と、13月(3.0%増)から伸びが加速した。単月でみると、6月は前年同月比4.4%増で、前月(3.5%増)からは伸びが加速した。

16月の消費者物価上昇率は前年同期比0.7%、6月単月では前年同月比横ばいだった。前月比では20232月以降マイナスが続いている。

6月の都市部調査失業率は5.2%で、前月比横ばいだった。大卒者を含む1624歳の同失業率は21.3%となり、20234月以降3カ月連続で過去最高を更新している。

国家統計局は、経済動向は通常の軌道に戻りつつあり、第2四半期も回復の勢いが続いたことから、上半期の中国経済は全体として上向きの傾向を示しているとの認識を示した。不動産投資に関しては、新規着工面積が減少しており、今後も低水準で推移するとの見方を示しつつも、不動産市場の調整のめどがつけば、徐々に合理的な水準に戻ると見通した。若年層失業率に関しては、卒業シーズンには大卒者が集中的に労働市場に参入することから、7月も上昇が続く可能性があるとしつつ、8月以降は徐々に下落していくとの認識を示した。

粤開証券の羅志恒首席エコノミストは、2023年のGDP成長率目標(5%前後)の達成には下半期に4.5%の成長を遂げる必要があり、容易ではないとの見方を示した。また、物価下落による実質金利の上昇、若年者失業率の上昇、民間投資のマイナス成長、地方債務リスクなどの問題を挙げ、「現在は不動産やインフラ建設などのような、全てを一挙に解決できるような解決策を探すのは難しく、政策の協調性を重視すべきだ」と指摘した(「財新」718日)。

(小宮昇平)

(中国)

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