中国、ビジネス向けアライバルビザ緩和、マルチビザへの切り替えも可能に

(中国)

北京発

2023年08月07日

中国公安部は8月3日、「公安機関サービスの質の高い発展を保障する若干の措置」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同措置では、外国籍のビジネス関係者へのアライバルビザ発給を緩和するとともに、中国入境後のマルチビザへの切り替えを可能にするとした。

アライバルビザについて、商談やビジネス交流、設備の据え付け・修理、展示会・会議への参加、投資・起業などのため訪中の必要があり、中国外でのビザ手続きが間に合わない場合、企業の招聘(しょうへい)状と証明資料を基に申請が可能となる。複数回の往来が必要な場合、中国入境後に3年以内のマルチビザへの切り替えも可能とした。

アライバルビザはこれまでも発給されてきたが、人道的理由やビジネス、エンジニアリングのために緊急招致された場合に限り、関連部門の同意の上で申請できるとされていた。

また、外国人居留許可の申請手続きに際して、パスポートを申請者の手元にとどめることも可能とする。これまで外国人居留許可の申請時には、申請機関にパスポートを預ける必要があった。その際発行される受理証が中国内では身分証明書として使用できるものの、許可が出てパスポートが返却されるまで、中国外へ渡航できないなどの問題が生じていた。

訪中ビザについて、中国は日本に対し依然として、滞在期間15日以内のビザ免除措置を停止(注)している。また、日本国内での訪中ビザ取得に当たっても、ビザセンターでの手続きに時間を要するなど、ビジネス上の往来にとって障害となっている。在中国日系企業などで構成する中国日本商会は「中国経済と日本企業2023年白書」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどで、ビザ免除措置再開や各種ビザ発給手続きの迅速化などを建議している。

今回のビザに関する内容について、国家移民管理局外国人管理司の賈同斌副司長は、国外とのビジネス関連の往来が盛んになることで、国内企業にとって国外からの受注を獲得する助けとなり、サプライチェーンの安定にも役立つとしている。

(注)従来、ビザ免除措置があった国のうち、ブルネイとシンガポールに対しては、免除が再開されている(2023年7月27日記事参照)。

(河野円洋)

(中国)

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