バイデン米大統領、自動車労使交渉の合意求め声明発表
(米国)
ニューヨーク発
2023年08月16日
米国のジョー・バイデン大統領は8月14日、全米自動車労働組合(UAW)と、米国自動車大手3社のゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティスとの間で行われている労使交渉に関し、双方が協力して公正な合意を形成するよう求める声明を発表した。9月15日の期限が迫る中、交渉は難航しており、UAWは合意に達しない場合、ストライキも辞さないとの姿勢を示している。
UAWは今回の交渉で大幅な賃上げに加え、電気自動車(EV)への移行に伴うリスクを争点の1つに挙げており、工場閉鎖の場合の組合員保護や、自動車メーカーとバッテリーメーカーの合弁で建設されたバッテリー工場で働く労働者に対する組合員と同等の賃金、安全基準の提供を求めている(政治専門紙「ポリティコ」8月15日)。また、労働者への条件などなしに、連邦政府がEV移行を推進することは「底辺への競争となる最大のリスク」との理由から、2024年大統領選でのバイデン大統領への支持を留保している(2023年7月25日記事参照)。
バイデン大統領は声明で「クリーンエネルギーの未来への公正な移行を支持する」との立場を明らかにし、「企業はこの(移行の)過程を利用して、高収入の仕事と職場の将来に対する発言権を提供し、労働者を業界の次の章に確実に参加させる必要がある」と述べた。また「ビッグ3(注)の自動車産業が家族を養える良い仕事であることを保証し、自動車会社は団体権を尊重して、痛みを伴う工場閉鎖を回避するためにあらゆる手段を講じるべきだ。雇用の転換が必要な場合には、公正な転換を行い、同じ工場や地域社会で同等の賃金で再整備・再雇用を行うとともに、既存の労働者にもそのような仕事に就くための最初の機会を与えるべきだ」と述べた。
(注)GM、フォード、ステランティスの3社。
(大原典子)
(米国)
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