モスクワ郊外間を結ぶ新鉄道路線が一部開業、都心の混雑緩和が狙い

(ロシア)

モスクワ発

2019年11月27日

モスクワ州やモスクワ郊外間を結ぶモスクワ中央通貫鉄道(MTsD外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の一部が11月21日に開業した。南西のオジンツォボ駅と北部のロブニャ駅間を結ぶD1線と、北西のナハビノ駅と南部のポドリスク駅間を結ぶD2線の2路線。今後数年間で全5路線の開業を予定している。開業式典にはプーチン大統領が出席し、MTsDのために導入した新型車両に初乗車した。

これまで郊外からモスクワ市内に移動する場合は鉄道主要駅でメトロに乗り換える必要があり、鉄道とメトロの運用が一体化していなかったため、乗り換えで大混雑する駅もあった。MTsDの開業により、モスクワ中心部での乗り換えなしでモスクワ市内と郊外間の移動が可能となり、都心の混雑緩和につながる。

MTsDは毎日午前5時半~翌日午前1時まで運行。乗車にはモスクワのICカード共通乗車券「トロイカ」を利用し、移動区間・距離に合わせて38ルーブル(約65円、1ルーブル=約1.7円)、45ルーブル、45ルーブル+10キロごとに23ルーブルの3種類の運賃が適用される。MTsDからメトロへの乗り換えは90分以内であれば追加費用はかからない。

新型車両はロシア鉄道車両製造最大手トランスマシのトベリ客車工場で製造され、無料Wi-Fiや充電用USB差し込み口、案内・広告用液晶パネル、車椅子や自転車用のスペースなどを備えている。現在は15編成の新型車両がD1線のみで運行、旧型車両も使用されている。

MTsDを運行する中央郊外旅客会社は11月25日、新路線の利用促進に向けて11月25日~12月8日の2週間、MTsDの乗車料金を無料にすると発表。モスクワ市政府の発表(11月25日)によると、MTsD一部開業後のMTsDと接続するメトロ駅の利用者数が30%増加した。

MTsDの開業に伴い、これまでベラルスキー駅とシェレメチェボ空港(SVO)を結んでいた特急列車アエロエクスプレスがベラルスキー駅からオジンツォボ駅までD1線を利用するかたちで延線した(注)。また、サビョロフスキー駅にも新たに停車することなどから、これまで35分かかったベラルスキー駅からSVOは、これから50分で運行されることとなった。

写真 MTsDに合わせて導入された新型車両(ジェトロ撮影)

MTsDに合わせて導入された新型車両(ジェトロ撮影)

(注)シェレメチェボ空港までの運賃はアエロエクスプレス規定料金(通常片道500ルーブル)が適用される。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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