燃料補助金撤廃に抗議デモ発生、政府との間で裁判沙汰に

(ナイジェリア)

ラゴス発

2023年08月08日

ナイジェリア労働会議(NLC)と労働組合会議(TUC)が予告していた8月2日のゼネラルストライキは、全国各州と連邦首都地区(FCT)アブジャでの国会、大統領官邸、州議事堂などに対する抗議デモに取って代えられた。当日は一部交通止めのところもあったが、首都アブジャや主要経済都市ラゴスは平穏だった。

NLCによるストライキの事前通告を受け(2023年7月28日記事参照)、ボラ・ティヌブ大統領は7月31日に国民に向けて演説を行い、燃料補助金の廃止と変動相場制への移行はナイジェリアが長年直面してきた深刻な経済的課題に対処するための政策だとして理解を求めた。その上で、インフレや通貨安によるガソリン価格への影響を注視しており、必要があれば介入すると述べていた。この演説に対して、NLCは、ガソリン価格を安定させるための国内製油所の復旧について言及がなかった点や、補助金廃止による国民の苦境に対処するために介入するという公約を実現していない点について批判していた。

抗議デモの発生した8月2日夕、NLCとTUCはティヌブ大統領と会談した。両労働組合は大統領への信頼を表明した上で、ナイジェリア人の福祉に関する問題を解決するため建設的に政府と関わっていくことで合意し、さらなる抗議活動を停止した。大統領はこの会談で、最低賃金の問題に取り組むことや、故障している国内製油所の2023年内の再稼働などを約束した。

その一方で、連邦政府は、抗議デモを実施したNLCとTUCに対して、ストライキを停止する国家裁判所の命令(2023年6月8日記事参照)に従わなかったとして、法廷侮辱罪で新たな訴訟を起こした。これに反発したNLCは、8月11日までに連邦政府がこの訴訟を取り下げない場合、14日にゼネラルストライキを開始すると宣言し、連邦政府に対しては、ガソリン価格高騰の解決策を提示する期限を8月19日とすることも併せて発表した。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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