BRICS貿易担当相会議が開催、サプライチェーン安定化に向け協力強化

(中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ共和国)

北京発

2023年08月16日

第13回BRICS貿易担当相会議が8月7日、オンラインで開催された。会議では「第13回BRICS貿易担当相コミュニケ」が採択され、デジタル経済、サプライチェーン、中小・零細企業、多国間貿易体制への支持などの分野で5つの成果文書をまとめた。

中国商務部の王文涛部長が会議に出席し、スピーチを行った。王部長はBRICS各国がデジタルやグリーンなどの新興分野の発展の機会を捉え、多国間貿易体制を堅持し、世界経済の回復に向けBRICSの役割を果たすべきだとした。

商務部国際司は会合の成果として、次の5点を挙げた。

  1. 「BRICSデジタル経済作業部会の職責」と「BRICSデジタル経済作業部会の作業計画」を承認し、電子船荷証券の展開や、クリーンエネルギー転換向けの投資などでの協力に関するロードマップを策定した。
  2. 「BRICSレジリエンスと持続可能な発展を強化するためのサプライチェーン協力枠組み」に合意し、開放的で、強靭(きょうじん)な、効率的かつ安定的なグローバルサプライチェーンの維持に向け協力を強化すると強調した。また、「BRICS中小・零細企業協力枠組み」に合意し、各国が展示会、貿易政策などの情報を共有し、企業マッチングを強化するとした。
  3. 「BRICSの多国間貿易体制とWTO改革の強化に関する声明」を発表し、WTOを中心とする多国間貿易体制を支持・強化することをあらためて表明し、WTO改革に積極的に参画し、第13回WTO閣僚会議(MC13)の成功を推進するとした。
  4. グローバルサプライチェーンの寸断をもたらす炭素国境調整メカニズム(CBAM)や税方面の奨励策などのユニラテラリズム(一国主義)で差別的な措置を批判し、これらの課題に共同で対応することをあらためて表明した。
  5. BRICS加盟国以外の国にもデジタル経済に関する議論に参加するよう求め、開発途上国と後発開発途上国との協力を模索すること、BRICS加盟国以外の有志国と多国間貿易体制を強化することで合意した。

また、同日に第7回BRICS工業担当相会議がオンラインで開催された(2023年8月16日記事参照)。

なお、第15回BRICS首脳会議は8月22~24日に南アフリカ共和国のヨハネスブルクで開催される予定となっている。

(張敏)

(中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ共和国)

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