国外での雇用機会増を捉え、2023年上半期の国外労働者数は74万人に
(バングラデシュ)
調査部アジア大洋州課
2023年08月22日
バングラデシュ人材雇用訓練局(Bureau of Manpower, Employment and Training:BMET)の統計によると、2023年1月~7月のバングラデシュ人の国外労働者数は74万3,426人だった(添付資料図1参照)。7月単月で見ると12万5,850人で、11万4,175人だった6月から10%以上増加した(添付資料図2参照)。
同国では、サウジアラビア(36%)、マレーシア(29%)、オマーン(12%)、アラブ首長国連邦(UAE、7%)、シンガポール(4%)を上位5カ国とし、計20カ国に労働者を派遣している。
特に、マレーシアはバングラデシュからの人材採用を増やしており、この7カ月間で21万8,415人の労働者を雇用している。その背景として、マレーシアがバングラデシュと同じイスラム文化圏であることに加え、マレーシア人的資源省が2023年1月、人手不足対策として、バングラデシュを含む指定15カ国からの外国人労働者の雇用を一時緩和し、併せて不法滞在者の正規化を再開した影響も考えられる(2023年1月25日記事参照)。また、受け入れ国5位のシンガポールでも、人材不足に対応するため、9月1日から外国人低熟練労働者向け就労パス発給対象を一部拡大すると発表しており、引き続き国外労働者と郷里送金の流入に係る動向が注目される(2023年8月17日記事参照)。
他方、現地報道によると、国外でのバングラデシュ人雇用は増加しているものの、現地での生活の質は決して高いとはいえないとも指摘されている。労働者の多くは十分な給与を得られない、または仕事が見つからずに帰国を余儀なくされるといった例も少なくないという。専門家は、労働者数を増やすだけではなく、派遣後の生活面のクォリティーを保証しなければ、今後の郷里送金の増加は大して見込めないだろうと述べている(「ファイナンシャル・エキスプレス」紙8月13日)。
バングラデシュ中央銀行(BB)の発表によると、2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)の初月7月の同国への郷里送金は前年同月比5.9%減の19億7,315万ドルで、前月比で10.3%減少した。同送金は2022/2023年度全体では216億1,066万ドルで、前年度比2.8%増だった(添付資料図1と2023年8月18日記事参照)。
(寺島かほる)
(バングラデシュ)
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