人手不足対策として外国人労働者雇用を一時緩和、不法滞在者の正規化も再開

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年01月25日

マレーシア人的資源省は1月17日、指定15カ国(注1)からの外国人労働者の採用手続きを迅速化すると発表した(人的資源省フェイスブック)。「外国人労働者雇用緩和計画(PKPPA)」の下、製造業、建設業、プランテーション、農業、サービス業(飲食業のみ)の5分野が対象。申請の受け付けはただちに開始し、3月31日まで実施する。

雇用主による申請後、3日以内に人的資源省が処理

上記5分野で採用を希望する企業は、「外国人労働者集中管理システム(FWCMS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」から雇用申請を提出し、人的資源省が3営業日以内にこれを認可する。同5分野については、政府の求人ポータルサイト「マイフューチャージョブス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」での求人情報掲載義務(注2)も免除する。1月16日以前に申請を提出していた企業が緩和措置の適用を受けるには、新たにFWCMSから申請を再提出する必要がある。

また同日に内務省も、PKPPAに基づく迅速化措置の詳細要件を発表した(内務省フェイスブック)。人的資源省の認可を得た企業は、まず出入国管理局に人頭税を支払う。その後、送出国で労働者を選定し健康診断、照会ビザ(VDR)を申請、送出国でのシングルエントリービザ申請、入国審査、外国人労働者診察モニタリング局(FOMEMA)による健康診断を経て、労働者は一時就労パス(PLKS)を与えられる。企業はPLKS発行後6カ月の猶予期間内に、最低賃金の実施含む労務基準の順守を徹底し、外国人労働者雇用資格の取得を完了する必要がある。

不法滞在者の正規化プログラムも再実施、1月27日から

また、出入国管理局は1月18日、オーバーステイやビザ条件違反などで国内に不法滞在する外国人労働者の雇用を正規化する「労働再調整プログラム2.0(いわゆるリカリブレーションプログラム)」を1月27日に再開すると発表した。2023年12月までの実施を予定している。2022年末に終了した前回のプログラムでは、約42万人が正規化した。

対象業種は、製造業、建設業、鉱業、警備業、サービス業、プランテーション、農業、家政婦。雇用主が1月27日以降、入国管理局から申請すると、正規化のプロセスは3週間以内に完了する見込みだ。具体的には、不法滞在労働者をオンライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで登録、面接日を設定する。その後、雇用者と同労働者がともに入国管理局による面接を受け、確認プロセス(Verification process)に合格すれば認可が下りる。さらに、健康診断(FOMEMA)、人頭税を含む料金支払いを経てPLKSが発行される、との流れだ。

(注1)インド、タイ、カンボジア、ネパール、ミャンマー、ラオス、ベトナム、フィリピン、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、インドネシア、カザフスタン。

(注2)政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う失業対策として、外国人の雇用に際して30日間の求人情報掲載を義務付けている(2021年1月6日記事参照)。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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