タイ総選挙、第3党のタイ誇り党の主要政策

(タイ)

バンコク発

2023年08月15日

5月の総選挙で第3党となり、71議席を有するタイ誇り党は87日、新政権樹立に向けてタイ貢献党と連携することを公表した。先般、前進党、タイ貢献党の掲げる政策についてのビジネス短信を発信したが(2023年5月232023年6月1記事参照)、今回はタイ誇り党の掲げる政策を取り上げる。

タイ誇り党は、前回の総選挙では大麻解禁を公約に掲げて躍進したが、同党のホームページに掲載されている今回の主要選挙公約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中には大麻関連の公約は見られない。同党の現在の主要選挙公約は次のとおり。

福祉対策として、担保・保証人なしで5万バーツ(約20万円、1バーツ=約4円)の緊急融資の提供、1人当たり100万バーツまでの借入金に対して3年間の返済猶予、60歳以上を対象とした掛け金不要の生命保険を提供する。

公衆衛生に関しては、村落の保健ボランティアの報酬を月額2,000バーツに増額、全ての村落に浄水器の設置、そして全ての地方にがん放射線治療装置を支給し、全ての郡に透析センターを設置する。

運輸・インフラについては、南部の半島部分におけるタイ湾とアンダマン海をつなぐランドブリッジ(道路と鉄道の複線)の建設、大気汚染を低減するために3年以内にバスを電動化し、バス料金は1040バーツに設定する。

観光産業を促進するために、観光資源の開発、地域の共同体、起業家に資金を提供する観光基金を設立する。また、医療・健康観光やスポーツ観光といった新たな観光市場向けの政策や、イベント、会議の開催などを通じて経済を活性化するとした。サステナブルで低炭素な観光やバイオ・循環型・グリーン(BCG)経済も促進するとした。

農業については、農家のリスクを軽減するため契約栽培を提案している。世界市場で事前購入価格が設定されているコメ、ゴム、キャッサバ、油ヤシに契約栽培を適用し、将来的には他の作物にも拡大する予定とした。

また、同党は屋根置きソーラーパネルを無償で提供することで、現在の電気料金から1世帯当たり450バーツを減額したり、月額100バーツの分割払いで6,000バーツの電動バイクを購入する機会を提供したりするなど、クリーンエネルギーに対する公約も掲げている。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

ビジネス短信 5621f09a20d850d4