タイ総選挙、第2党のタイ貢献党の主要政策

(タイ)

バンコク発

2023年06月01日

5月14日のタイ下院総選挙により、野党が躍進し、前進党、タイ貢献党が議席獲得数で上位となった。先般、前進党の掲げる政策についてのビジネス短信を発信したが(2023年5月23日記事参照)、今回は第2党となったタイ貢献党の掲げる政策を取り上げる(添付資料参照)。

タイ貢献党ホームページでは、タイ貢献党の掲げる政策のうち19の主要政策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを掲載している。主要政策には、人工知能(AI)技術などを利用して農業の生産効率を改善するなどの農業政策、2027年までに最低賃金を日額600バーツ(2,400円、1バーツ=約4円)に引き上げるなどの経済政策(注)、医療・健康ツーリズムの推進といった観光政策、デジタル政府の推進、民主的なプロセスによる新憲法の制定、薬物対策、治水対策、PM2.5による大気汚染の解決などがある。

また、タイ貢献党は、年平均5%のGDP成長率を達成することを目指している。経済政策としては、最低賃金の引き上げ以外にも、16歳以上を対象に自宅近隣でのみ使用できるデジタルマネー1万バーツを提供し、地域活性化につなげる。また、バンコク、北部チェンマイ、東北部コーンケーン、南部ハジャイの4都市に新ビジネスゾーン(NBZ)を開設し、所得税の免除などのインセンティブ提供や新規事業エコシステム形成により、スタートアップや中小企業の活性化を促す。その他、あらゆる年代の国民に教育の機会を提供することで、知識やスキルの習得を通じて、全世帯の月収を2万バーツ以上に引き上げるとしている。

(注)タイの最低賃金は、地域ごとに異なる金額が適用される。直近では、2022年10月1日に新たな最低賃金が設定され、県ごとに日額328~354バーツの間で設定されている。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

ビジネス短信 18f07e84676a1c7f