自貿区発展報告書を発表、全国21カ所の自貿区で改革開放が加速

(中国)

北京発

2023年08月09日

中国商務部国際貿易経済合作研究院と、河南省商務庁、河南省鄭州市政府は「第3回中国自由貿易試験区発展フォーラム」を84日、鄭州国際会議中心で開催した。全国21の自由貿易試験区は、中国共産党第20回全国代表大会(2022年10月18日記事参照)で提起された「自由貿易試験区の発展戦略の実施」の理念に基づき、発展目標などを打ち出していた。今回のフォーラムでは、全国の自由貿易試験区管理委員会が各地での取り組み状況などを報告した。

このほかに、商務部国際貿易経済合作研究院の顧学明院長と崔衛傑副院長が「中国自由貿易試験区発展報告2023」を発表した。この報告書によると、より複雑化する国内外の情勢と各種リスクと挑戦に直面する中、2022年は全国21の自由貿易試験区で537項目(注)の制度改革が行われ、うち120項目で成果と進展がみられたとしている。そのうち貿易分野では、通関の監督管理、物流プロセス、新たな貿易ビジネスモデル、貿易関連サービスなどで進展があった。具体的には、冷凍品輸入での分類検査の自動化、美術品のデジタル管理、越境貨物輸送での非接触型の通関、通関業務の人工知能(AI)化水準の向上を挙げた。

また、報告書では全国21の自由貿易試験区の2022年の経済運営実績を報告している。同区の輸出入総額は75,000億元(約150兆円、1元=約20円)に達し、中国全体の17.8%を占めた。同外商直接投資額は2,225億元で中国全体の18.1%を占めた。外商直接投資のうち先端技術産業への投資は前年比53.2%増と大幅に増加した。

14期全国政治協商委員会常務委員で商務部前副部長の銭克明氏はフォーラムで、「中国は20139月からこの10年間で21の自由貿易試験区を建設し、東西南北へ放射状に改革開放のイノベーション体制を構築した」と述べた上で、自由貿易試験区はこれまでにない実践を推進し、画期的進歩を遂げ、改革開放の試験区としての役割を十分に発揮していると評した。

写真 フォーラムの様子(主催者提供)

フォーラムの様子(主催者提供)

(注)537項目の内訳は、投資107項、貿易131項、金融54項、監督管理プロセス70項、産業の開放・発展62項、経営資源94項、自由貿易試験区間での協働19項。

(亀山達也)

(中国)

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