米インテル、ポーランドに半導体新工場を建設へ、46億ドルの投資発表
(ポーランド、米国)
ワルシャワ発
2023年08月03日
ポーランドのバルデマール・ブダ開発技術相は7月21日、米国の半導体大手インテルの本社を訪問した。
インテルは6月16日にポーランドに46億ドルを投じて南西部のブロツワフ市近郊に半導体組み立て・検査工場を新設すると発表した(プレスリリース)。これはポーランドにとって過去最大規模の対内直接投資になる。新工場は2027年までの稼働を目指しており、約2,000人を雇用する予定。工場の建設作業やサプライヤーによる雇用により、追加で数千人の雇用を創出できるとしている。
ブダ開発技術相は、ポーランドの大きな利点は世界で評価されるプログラマーの能力で、彼らのスキルはポーランドの経済発展に貢献していると強調した。
マテウシュ・モラビエツキ首相は投資発表の際に、インテルの投資によってポーランドは半導体の最先端の生産技術拠点となり、新たな投資やさらなる協業を呼び寄せることになるだろうと期待を示した。
EUが半導体調達の東アジアへの依存度の低下や、域内での半導体の研究開発・生産の強化と安定供給を目指していることを背景に(2023年8月2日記事参照)、インテルは欧州各地で研究開発・製造拠点を拡大している。同社は2022年に既存のアイルランド工場の増強を発表したほか、2023年6月にドイツの半導体工場建設への300億ユーロ規模の投資を発表した(2023年6月29日記事参照)。
同社はポーランドを投資先に選んだ理由として、整備されたインフラや優秀な人材、優れたビジネス環境、コスト競争力などを挙げた。また、ポーランド、アイルランド、ドイツの3カ国の製造拠点が緊密な協力関係を構築し、欧州の半導体サプライチェーンの回復力とコスト効率の向上に貢献できるとした。
インテルは30年前にポーランドへ進出し、現在、国内に約4,000人を雇用する。北部グダニスク市には、同社にとって欧州最大の研究開発(R&D)センターを持つ。同社は2022年3月発表のプレスリリースで、ディープニューラルネットワーク(注)、オーディオ、グラフィックス、データセンター、クラウドコンピューティング分野のソリューション開発に重点を置くグダニスク市のR&Dセンターのラボスペースを2023年内に50%増設するとしている。
(注)従来のニューラルネットワーク(脳内の神経細胞のネットワーク構造を模した数学モデル)にさらに深い階層を加えて情報処理能力を高めたもの。
(ニーナ・ルッベ)
(ポーランド、米国)
ビジネス短信 07176a0454b55df5