中国、新エネ車販売台数の33.9%に自動運転レベル2搭載

(中国)

上海発

2023年07月07日

中国の乗用車市場信息聯席会(CPCA)は6月27日、自動車ICV(注)に関するレポートを発表し、新エネルギー車(以下、新エネ車)の販売動向と高度運転支援システム(ADAS)導入状況に関して公表した。

中国の5月の新エネ車販売台数は約71万5,000台(乗用車は約68万9,000台、商用車は約2万5,000台)で、前月比12.6%増、前年同月比60.7%増と、好調な販売を維持している(2023年6月16日記事参照)。そのうち、多目的車(MPV)は前年同月比で5.6倍の大幅増加となった(添付資料図1参照)。5月の新エネ車販売台数の構成は、乗用車が49.3%、スポーツ用多目的車(SUV)が44.4%、トラックが2.6%、バスが2.6%、MPVが0.8%を占めた。2023年1~5月の新エネ車累計販売台数は293万2,000台で、前年同期比47.1%増と堅調だ(添付資料図2参照)。

新エネ車に搭載されているADASに関し、2023年第1四半期(1~3月)に販売された新エネ車のうち、レベル2の自動運転機能を有する車は33.9%、レベル2を超える機能を有する車(L2+)は4.9%を占めた。価格帯別にみると、24万~32万元(約480万~640万円、1元=約20円)と、32万~40万元の新エネ車で、レベル2はそれぞれ65.8%、60.4%の搭載率、L2+はそれぞれ17.1%、20.7%の搭載率だった。メーカー別ではテスラ、上海蔚来汽車(NIO)が多くを占めた〔添付資料「図3 新エネルギー乗用車 販売台数における自動運転(L2、L2+)搭載率(価格帯別)」、「図4 自動運転L2+レベルにおけるメーカー別シェア(価格帯32~40万元)」参照)〕。

L2+の乗用車販売台数を都市別にみると、上位10に入る都市は上海市、浙江省杭州市、四川省成都市、江蘇省蘇州市、広東省深セン市、北京市、江蘇省無錫市、浙江省寧波市、広東省広州市、浙江省金華市の順だった(添付資料図5参照)。上位10都市の販売台数は全体の販売の半数以上を占めた。

個別の支援システムに関しても、新エネ車の24万元以上の車種では、AEB(Autonomous Emergency Braking)の搭載は97%以上、ACC(Adaptive Cruise Control)の搭載は98%以上、APA(Auto Parking Assist)の搭載は83.2%と普及している。一方、ALC(Automated Lane Change)では、24万元以上の車種で19.6%と搭載率は低い状態となった(注2)。

(注1)ICV(Intelligent Connected Vehicle)は人工知能(AI)や高度の通信技術を導入し、安全性や効率性の高い自動運転を可能とする自動車の総称。

(注2)AEB(Autonomous Emergency Braking)は衝突被害軽減ブレーキ。ACC(Adaptive Cruise Control)は長距離移動などであらかじめ設定した速度内で自動的に加減速の支援を行う機能。APA(Auto Parking Assist)は自動駐車支援機能。ALC(Automated Lane Change)は自動車線変更機能。

(神野可奈子)

(中国)

ビジネス短信 ff2c7e5ca92458cf