第2四半期の米新車販売、需給ともに好調で前年同期比2桁増、クリーンビークルは1.5倍

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月13日

モーターインテリジェンスの発表(75日)によると、米国の2023年第2四半期(46月)の新車販売台数は、前年同期比16.8%増の4119,969台だった(添付資料表1参照)。2020年以降続いていた半導体チップなどの供給不足が改善し、買い控えていた消費者の繰り越し需要が販売を後押ししたとみられる。一方、2019年同期比では、7.1%減となっている。同20.5%減となった前年に比べ、減少幅は縮小したものの、新型コロナウイルス禍前の販売規模には回復していない。

今回の結果に関し、自動車関連サービス企業コックス・オートモーティブのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏は「(2023年)上半期が終了するにつれて、市場はよりバランスの取れた兆しを見せており、販売台数の変化は小さく予測可能で、大きな価格変動のニュースも少なくなっている。1年後には、この時点が正常な状態への回帰の始まりだったと振り返ることができるかもしれない」と述べ、需給ともに安定してきたとの見方を示している。同社はこれを踏まえ、2023年の販売予測台数を年初発表の1,410万台から1,500万台に上方修正した(2023412日付地域・分析レポート参照)。

他方、高水準で推移する車両価格と金利水準の影響で、下半期の需要が減少する可能性を示唆する声も聞かれる。自動車情報サイトのエドマンズ・ドットコムによると、2023年第2四半期の自動車ローンの平均金利は年率7.1%で、前年同期比で2.1ポイント上昇した。また、市場調査会社のJDパワーによると、6月時点の平均車両価格は前年同月と同水準の45,978ドルと、依然として高い水準にとどまっている。

2023年第2四半期の新車販売台数を部門別に見ると、乗用車は前年同期比12.4%増の887,384台、小型トラックは18.1%増の3232,585台と、いずれも大幅に伸びた。大型乗用車は1.3%増にとどまったものの、そのほか全ての車種で2桁増だった。

メーカー別に見ると、主要メーカーの新車販売台数はいずれも前年同期と比べて増加した(添付資料表2参照)。ゼネラルモーターズ(GM)はスポーツ用多目的車(SUV)「トレイルブレイザー」が伸び、前年同期比19.1%増の689,393台だった。トヨタはピックアップトラック「タンドラ」などが押し上げ、7.1%増の568,962台、フォードはピックアップトラック「Fシリーズ」が好調で、9.9%増の527,905台となった。ステランティスはSUV「デュランゴ」などが押し上げ、6.4%増の436,656台、ホンダはSUVCR-V」などが好調で、44.7%増の347,025台、日産はSUV「ローグ」が押し上げて33.4%増の244,353台だった。現代は14.9%増の227,629台、起亜は15.4%増の21197台となっている。電気自動車(EV)メーカーのテスラは、バッテリー式EVBEV)のSUV「モデルY」が好調で、34.8%増の175,262台となった。「モデルY」は全車販売台数第4位、SUV部門ではトヨタ「RAV4」をわずかに上回って首位となった。

新車販売台数のうち、BEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を合わせたクリーンビークル(注)は、前年同期比50.6%増と大幅に増加した。クリーンビークルが全車両に占める割合は8.9%となり、前年同期の6.9%から大きく伸びた。中でもクリーンビークルの8割以上を占めるBEVは、前年同期比50.9%増と大きく伸びている(添付資料表3参照)。BEVのメーカー別シェアでは、テスラが58.6%と大半を占める一方、前年同期と比べて7.0ポイント減少している。一方で、BMW、メルセデスベンツ、リビアンなど高価格帯メーカーがシェアを伸ばした(添付資料表4参照)。

(注)米国政府がインフレ削減法(IRA)に基づく税額控除の対象車両として採用した呼称。

(大原典子)

(米国)

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