ホーチミン市都市鉄道2号線、計画後ろ倒しも、ついに着工

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年07月06日

ベトナムのホーチミン市で622日、都市鉄道2号線(ベンタイン~タムルオン)のインフラ工事が着工した。同都市鉄道の建設プロジェクトは2010年に中央政府の承認を得ていたが、各種手続きの遅れにより、当初の計画よりも後ろ倒しになっている。

同都市鉄道2号線は、ホーチミン市中心部の1区ベンタインから、北西に位置する12区タムルオンを結ぶ計画(第1期、注1)。路線は全長11キロ(地下区間9キロ、高架区間2キロ)で、11駅(地下駅10、高架駅1)とタムルオンにある車両基地(デポ)で構成される。完成すれば、建設が進む都市鉄道1号線(2023年5月11日記事参照)や、建設が計画されている4つの都市鉄道と接続される予定だ(添付資料参照)。

今回着工したのは、路線沿いにある電気や上下水道、通信などの既存インフラの移転と整備で、2025年までに整地が完了する見込み。現在の用地収用率は87%で、ホーチミン市都市鉄道管理局(MAUR)は2023年内の用地取得完了を目指して、立ち退き補償費用関連の問題解決を急いでいる。同日に開催された起工式で、MAURのグエン・クオック・ヒエン副局長は「このインフラ工事は、2025年に計画されている地下駅やトンネル建設の用地を確保するために必要だ」と述べた(VNエクスプレス2023623日付)。

写真 起工式の様子(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

起工式の様子(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

同都市鉄道2号線の建設プロジェクト(第1期)の投資総額は約478,908億ドン(約2,921億円、1ドン=約0.0061円)で、その約8割がODAでまかなわれる(注2)。MAURは現在、プロジェクトの進捗管理や、工事現場の監督を担うコンサルティング会社を選定している最中。日本やフランス、スペイン、ドイツ、オランダ、韓国などの企業やジョイントベンチャーが候補となっており、8月に入札を行う予定だ。

同都市鉄道2号線は、当初は2016年に完成予定だったが、用地収用の行政手続きに時間を要し、手続き完了見通しが2026年まで延長となった経緯がある。さらに、20234月に建設期間の再延長が当初のコンサルティング会社との契約打ち切りを理由に中央政府に承認され、最終的には2032年までの開通を目指している(VNエクスプレス20221017日付および2023417日付)。

(注1)同都市鉄道2号線の建設プロジェクトは第1期から第3期の3段階に分けられている。第3期完了後は、サイゴン川を挟んでベンタインの北東に位置するトゥドック市トゥティエム地区と、タムルオンの北西に位置するクチ地区まで結ばれる(全長48キロ)。

(注2ODAには、アジア開発銀行(ADB)、ドイツ復興金融公庫、欧州投資銀行が参加している。

(児玉良平、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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