ホーチミン市都市鉄道1号線、高架8駅区間で試運転

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年05月11日

ベトナムのホーチミンで426日、建設中の都市鉄道1号線(ベンタイン~スオイティエン)の高架区間で試運転が実施された。全長19.7キロの路線のうち、終点のスオイティエン駅からアンフー駅までの約12.3キロの高架区間を往復し、これまでの試運転で最も長い8駅区間での走行となった(注)。

同都市鉄道1号線では、202212月に最初の試運転を実施して以降、商業運転に向けて複数回の走行テストを行っている(2022年12月28日記事参照)。今回の試運転は6回に分けて実施され、1日で計1,800人程度の客が乗車した。走行テストは安全確保のため、時速50キロ未満で実施された。

ホーチミン市都市鉄道管理局(MAUR)によると、建設プロジェクト全体の進捗率は約95%で、2023年内には沿線の駅や歩道橋の建設を含む工事を完成させる予定だという。ホーチミン市は2月に中央政府の承認を得た上で、同建設プロジェクトの完成時期を2023年内としていたが、415日にファム・ミン・チン首相が視察した際、建国記念日の92日までに完成するよう要請されており、建設が急がれている。

一方で、同市直属の100%国営企業として2015年に設立された運営会社のHURC1は設立以来、十分な資金調達を行えておらず、運営資金が不足している状況だ。20218月から従業員の給料や社会保険料の支払いが滞り、運営に必要な人員を確保できていないため、ホーチミン市は追加出資を求めて関係機関との調整を行っている(「トイチェ」紙415日)。MAURの担当者によると、「HURC1への追加出資は、複数の関連法令に沿って手続きを進める必要があり、中央政府が承認するまでに時間を要する」という(ジェトロによるヒアリング58日)。

同都市鉄道1号線の建設プロジェクトは国際協力機構(JICA)が実施する円借款事業の1つで、MAURは「2023年は日本との外国関係樹立50周年に当たる。2023年中の建設プロジェクト完成を目指すことは、両国の友好的な外交関係で非常に重要で意義深い」としている。

写真 試運転での乗客の様子(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

試運転での乗客の様子(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

写真 試運転中の車両(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

試運転中の車両(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

(注)路線は全長19.7キロ(高架区間17.1キロ、地下区間2.6キロ)で、14駅(地上駅11、地下駅3)で構成される。

(児玉良平、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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