2022年のアフリカへの直接投資額、前年比43.6%減の449億ドル
(アフリカ、エジプト、南アフリカ共和国、モロッコ、ケニア)
調査部中東アフリカ課
2023年07月11日
国連貿易開発会議(UNCTAD)が7月5日に発表した「世界投資報告書2023」によると、アフリカの2022年の対内直接投資額は449億ドルだった。南アフリカ共和国での大型投資によって過去最高を記録した2021年からは約43.6%の減少だったが、それ以前の水準に戻ったかたちだ。アフリカの対内直接投資額の推移は次のとおり。
- 2022年:449億ドル
- 2021年:796億ドル
- 2020年:392億ドル
- 2019年:460億ドル
- 2018年:442億ドル
- 2017年:404億ドル
世界全体の投資額におけるアフリカの割合を見ると、2021年には5.4%だったが、2022年は3.5%にとどまった。アフリカでのグリーンフィールド投資のプロジェクト件数では、2022年は前年比約4割増の766件で、石油・ガス分野、建設分野、採掘産業などへの投資が多かったという。
2022年の国別投資額では、エジプトがクロスボーダーM&A投資の活発化により前年比2.2倍の約114億ドルと、アフリカで1位となった。2021年に1位だった南アは前年比77.8%減の91億ドルの2位だった。南アのメディア大手ナスパーズと同子会社プロサス間で2021年に行われた株式交換の金額が大きかったため(2022年6月23日記事参照)、2022年はその反動で大幅な減少を見せた。
アフリカの対内直接投資額の上位10カ国は次のとおり。
- エジプト:114億ドル(前年比2.2倍)
- 南ア:91億ドル(同77.8%減)
- エチオピア:37億ドル(同13.8%減)
- セネガル:26億ドル(同0.1%減)
- モロッコ:21億ドル(同5.5%減)
- モザンビーク:20億ドル(同61.3%減)
- コンゴ民主共和国:18億ドル(同1.3%減)
- コートジボワール:16億ドル(同15.0%増)
- ウガンダ:15億ドル(同38.7%増)
- ガーナ:15億ドル(同39.0%減)
同報告書によると、アフリカの太陽光や風力発電など再生可能エネルギー関連の投資件数は、2015年から2022年の年平均成長率は6.2%で、増加傾向にある。また、2022年の再エネ分野への投資では、南ア、エジプト、ケニア、ナイジェリア、ザンビアの上位5カ国でアフリカ全体の約半分を占めた。さらに、南アやモーリタニア、モロッコ、エジプト、ナミビア、ニジェールなどでは、英国やフランス、イタリア、米国の企業から、再エネによって水素を生産するグリーン水素プロジェクトへの投資も多かったという。
(井澤壌士)
(アフリカ、エジプト、南アフリカ共和国、モロッコ、ケニア)
ビジネス短信 aee131b356452ebe