中国、上半期のRCEP協定加盟国との貿易額は1.5%増に

(中国)

調査部中国北アジア課

2023年07月25日

中国税関総署は7月13日に行われた2023年上半期の輸出入状況に係る記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2023年7月21日記事参照)で、2023年上半期(1~6月)の中国と地域的な包括的経済連携(RCEP)協定加盟国との貿易額が前年同期比1.5%増の6兆1,000億元(約122兆円、1元=約20円)と発表した。特にシンガポール(27%増)、ラオス(25.8%増)、オーストラリア(16.4%増)、ミャンマー(15.2%増)との貿易額が伸びた。

中国からの輸出では、主に衣類・同付属品、無機化学品、プラスチックとその製品などにRCEP協定に基づく原産地証明書などが発給され、輸出額1,269億5,000万元に及ぶ貨物が同協定に基づく特恵関税の適用を受けた。これによって、輸入国側が享受した関税の減免額は19億1,000万元と推定された。また、中国国内の590社の認定輸出業者(注)が自主的に発行した原産地申告は4,844件だった。

輸入では、主にプラスチック・同製品、機械器具・同部品などで同協定が利用され、輸入額403億6,000万元の貨物が適用を受けた。これによって中国側の企業が享受した税の減免額は10億7,000億元と推定された。

記者会見で、税関総署統計分析司の呂大良司長は「RCEP協定の役割をさらに発揮させ、対外貿易と投資誘致を安定化させ、産業チェーン・サプライチェーン協力を促進し、質の高い発展を推進していく」との方針を述べ、具体的な取り組みについて次の3点を示した。

  • RCEP協定に係る税関の検査検疫規則に焦点を当て、関連する規則を改善し、税関の情報運用システムをアップグレードする。また、税関手続きの標準化や簡素化を進め、通関プロセスを持続的に最適化することで、企業の通関に係るコストを削減する。
  • RCEP協定加盟国の通関手続きや検査検疫などの貿易円滑化措置に注目し、各加盟国での関税優遇措置の実施に関する情報を収集し、最新動向をタイムリーにフォローアップする。
  • RCEP協定に係る政策法規のプロモーション活動を引き続き拡大し、企業が同協定のメリットを十分に理解できるよう導き、企業による協定加盟国のさらなる市場開拓を支援する。

(注)各締約国の権限ある当局によって認定を受けた輸出者が自ら作成した原産地申告を輸入者が輸入締約国の税関当局に提出することで、原産品であることを証明する制度。

(片小田廣大)

(中国)

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