中国側統計、2022年の日本の対中投資実行額は前年比17.7%増

(中国)

調査部中国北アジア課

2023年07月10日

中国・国家統計局運営のウェブサイト「国家データ」によると、日本からの2022年の中国への直接投資実行額は前年比17.7%増の46億508万ドルとなった(添付資料表、注、2022年7月13日記事参照)。中国側統計に基づいた日本の対中投資は2019年、2020年と2年連続で減少した後、2021年に増加していた。全体に占める構成比は2.4%となり、2021年から0.1ポイント拡大した。商務部運営のウェブサイト「中国投資指南」などでは2019年1~10月まで毎月上位10カ国・地域の投資実行金額を発表していたが、それ以降は発表されておらず、「国家データ」が主要国・地域の対中投資動向把握の手段となっている。

「国家データ」で2022年の数値が確認できる主要国・地域の状況をみると(7月5日時点)、1位は香港で、前年比4.2%増の1,372億4,149万ドルとなり、全体の72.6%を占めた。次いで、2位はシンガポール(2.6%増の105億9,894万ドル)、3位は英領バージン諸島(25.6%増の66億3,493万ドル)、4位は韓国(63.1%増の65億9,872万ドル)となり、日本は5位。上位5位は2020年、2021年と同様だった。

新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大の影響を色濃く受けたことなどから、2022年の中国の実質GDP成長率は3.0%と、近年の中で低い水準だったが、主要投資国・地域の多くが前年より投資を増加させた。なお、米中対立が指摘されている米国は前年比10.2%減の22億1,457万ドルと減少したほか、台湾も29.7%減の6億6,110万ドルとなった。

なお、世界の2022年の中国への直接投資実行額は前年比9.0%増の1,891億3,241万ドルで、2017年以降6年連続での増加となった。しかし、商務部の2023年6月15日の発表によると、世界の2023年1~5月の中国への直接投資実行額は前年同期比5.6%減の843億5,000万ドルと減少した。商務部外資司の担当者は同日、人民元ベースでは微増(0.1%増)だったとした。また、ドルベースでの主な減少要因として、(1)2022年1~5月に大型プロジェクトが集中し、ドルベースの投資額が同時期の過去最高レベルだったこと、(2)最近のドルレート変動の影響を受けたことを挙げた。

(注)同ウェブサイトに注釈はないが、過去の商務部発表の数値などと比較すると、銀行・証券・保険分野を含まない数値で、各国・地域の数値には当該国・地域から英領バージン諸島、ケイマン諸島、サモア、モーリシャス、バルバドスなどを経由して中国に投資された金額を含まないとみられる。

(宗金建志)

(中国)

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