マハーラーシュトラ州、グリーン水素政策を発表
(インド)
ムンバイ発
2023年07月14日
インドのマハーラーシュトラ(MH)州内閣は7月4日、グリーン水素政策を承認した。グリーン水素は、再生可能エネルギーを用いた電気分解で生産されるため、二酸化炭素(CO2)を排出しないエネルギー源として世界的に注目されている。2022年2月には、インド政府が2030年までに年間500万トンのグリーン水素生産を目標とする「国家水素ミッション」の具体策を発表したが(2023年3月7日記事参照)、今回MH州が承認した政策はこれに沿った全国初の州レベルでのグリーン水素政策となる。
MH州のグリーン水素政策の具体的なポイントは次のとおり。
- 2030年までに、年間50万トンのグリーン水素を生産する。
- 今後数年間にグリーン水素を製造する企業への補助金や恩典として、856億2,000万ルピー(約1,456億円、1ルピー=約1.7円)を確保する。
- グリーン水素製造のために調達される電力料金の割増金の支払いを免除する。
- 水力、風力、太陽光など再生可能エネルギーを利用した発電所からグリーン水素製造などのために調達した電力について、州内送電料金および託送料金を10年間にわたって50%免除し、電力税を100%免除する。
- グリーン水素製造を行う企業に対し、州政府の所有する土地の優先的な賃貸借を行う。
MH州内閣の報告書によると、同政策はグリーン水素の製造促進のみならず、当該分野への投資誘致によって、州内の雇用機会創出や経済発展の促進を目的としている(「Times of India」紙7月5日)。一方で、今回公表された政策はグリーン水素の製造に対するインセンティブに重きが置かれており、水素の需要創出については触れられていない。
MH州はこの政策を通じて、グリーン水素および関連エコシステムの先駆的な産業育成を目指す狙いがある。インド各地で地場大手企業と外資企業との水素製造に向けた協業が徐々に進むなか(2023年6月9日付地域・分析レポート参照)、今回の発表によってインドのグリーン水素事業の動向がさらに注目される。
(丸山春花)
(インド)
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