大手自動車メーカー7社、北米のEV充電ネットワーク構築で合弁会社を設立へ

(米国)

シカゴ発

2023年07月31日

BMW、ゼネラルモーターズ(GM)、ホンダなど大手自動車メーカー7社は7月26日、北米で電気自動車(EV)用の急速充電ネットワークを構築するため、2023年内に合弁会社を設立すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

合弁事業に参加する7社(BMW、メルセデス・ベンツ、GM、ホンダ、現代自動車、起亜、ステランテイス)は、都市部や高速道路に少なくとも3万カ所の高出力充電ステーションを設置することを目指している。充電ステーションは全てのEV利用者が利用可能で、CCS規格とNACS規格(注1)の両方のコネクターを提供する。最初の充電ステーションは、2024年の夏に開設される予定だ。なお、各社の投資額や合弁会社の名称は、現時点で発表されていない。

エネルギー省(DOE)によると、2023年7月時点で、米国には230万台のEV利用に対して、3万2,000基の急速直流(DC)充電器が設置されている。また、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は、2030年までに3,000万~4,200万台のプラグイン車〔バッテリー電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)など〕をサポートするために、18万2,000基のDC充電器が必要と試算している。7社の発表によると、EVは2030年までに米国の自動車販売台数の50%超を占めると予想されており、信頼性の高い充電インフラの拡大がさらに重要になるとみられる。

なお、2022年末時点で米国のEV販売台数の約6割を占めるテスラは、2022年11月に自社の充電コネクターを他社にも開放すると発表し、GM、フォード、リビアンなどがすでに導入を決定した。SAEインターナショナル(注2)が2023年6月27日に、テスラのNACS規格を標準化すると発表したことで(2023年6月30日記事参照)、北米では今後、NACS規格が急速に普及するものと予想される。テスラは2023年7月時点で、約1万8,000基のスーパーチャージャーを設置しており、米国内最大の急速充電器ネットワークを構築している(オートモーティブ・ニュース7月26日)。

(注1)急速充電規格のコンバインド充電システム(Combined Charging System)とテスラが開発した北米充電標準規格(North American Charging Standard)。

(注2)航空宇宙、自動車、商用車業界の12万8,000人を超えるエンジニアおよび関連技術の専門家が所属する非営利団体で、学術会議の開催や規格の制定をする。

(齋藤秀美、星野香織)

(米国)

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