上半期の外国企業の直接投資、件数は55%増も金額は20%減

(ベトナム)

ハノイ発

2023年07月21日

ベトナム外国投資庁によると、2023年上半期(16月)の対内直接投資(認可ベース、620日時点の速報値、出資・株式取得を除く)は、新規・拡張の合計で1,925件(前年同期比55.4%増)、認可額は941,811万ドル(19.9%減)だった(添付資料表1参照)。13月同様、大型案件が少なく、投資額の低迷が続いている(2023413日記事参照)。一方、投資件数は順調に伸びている。

大型案件の減少について、同庁は、大企業はグローバルミニマム課税(注)による税制の変更を懸念し、意思決定に慎重になっていると現状を分析する(「ニャンザン」紙629日)。ベトナム政府は、同制度が各国で適用予定の2024年に向けて、税務総局を中心に税制改正などを検討している。

業種別にみると、件数、認可額ともに1位の製造業は724件(前年同期比45.4%増)、758,823万ドル(9.1%減)だった。中国のルナジーグループ(Runergy)による中部ゲアン省でのソーラーパネル製造案件(タイ子会社出資、29,300万ドル)などが新たに認可を得た。内需向けでは、サントリーと米国ペプシコが提携するサントリーペプシコ・ベトナムによる南部ロンアン省ヒュータイン工業団地での新規製造案件(約18,500万ドル)などがあった。

認可額の2位は不動産で59,209万ドル(前年同期比70.4%減)、3位はコンサルなどで37,112万ドル(2.4倍)だった。件数の2位は小売り・卸売りなどで469件(61.7%増)、3位はコンサルなどで257件(57.7%増)だった。

国・地域別の認可額では、シンガポールが213,495万ドル(前年同期比40.1%減)で首位だった(添付資料表2参照)。2位は中国で188,023万ドル(55.1%増)、3位は韓国で10718万ドル(57.4%減)だった。日本は6位で57,486万ドル(39.1%減)だった。件数では、韓国が390件(16.4%増)で首位だった。2位の中国が313件(2.1倍)。シンガポールが235件(65.5%増)、日本が219件(50.0%増)と続いた。

16月の出資・株式取得は、件数が前年同期比6.6%減の1,594件、認可額が76.8%増の401,418万ドルだった。3月に三井住友銀行が15億ドルを出資したVPバンク(Vietnam Prosperity商業銀行)の案件が金額全体の4割近くを占める。同行は第三者割当増資によりVPバンクの株式15%を取得。リテールや中小企業金融分野を中心としたベトナムでの事業拡大方針を発表している。

直接投資の実行額(推計)は前年同期比0.5%増の1002,000万ドルだった。

(注)一定売り上げ規模以上の多国籍企業を対象に、活動場所を問わずに最低15%の法人税を課す仕組みで、各国で導入の検討が進む。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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