1~3月の外国企業投資、投資額は42%減も投資件数は38%増

(ベトナム)

ハノイ発

2023年04月13日

ベトナム外国投資庁によると、2023年1~3月の対内直接投資(認可ベース、3月20日時点の速報値、出資・株式取得を除く)は、新規・拡張の合計で756件(前年同期比37.5%増)、認可額は42億3,132万ドル(41.8%減)だった(添付資料表1参照)。大型案件が少なく、投資金額は減少しているが、件数は4割近く増加した。同庁は、新規投資522件のうち7割の案件の投資額(認可額)は100万ドル未満と明らかにした上で、中小企業はベトナムに引き続き関心をもって新規投資をしているが、大企業はグローバルミニマム課税(注)の影響で意思決定に慎重になっていると現状を分析する(「VNエコノミー」紙3月28日)。

業種別にみると、件数、金額ともに1位の製造業は、302件(前年同期比29.1%増)、34億2,569万ドル(31.5%減)だった。最大の案件は、北部バクザン省での台湾系の電子機器受託生産(EMS)世界最大手フォックスコンの子会社フーリアン(Fulian)が操業予定の電子機器工場案件(6億2,100万ドル)だ。同じくフォックスコン傘下のシンガポール法人イングラシス(Ingrasys)が出資をする。親会社のフォックスコンも2022年にバクザン省で3億ドル拡張投資をすることが報じられており、グループ全体で米国アップル製品の生産拠点化を推進する動きと推測される。バクザン省には同じくアップル向けの製造を担う中国のラックスシェアも進出している。

認可額の2位は不動産で3億6,370万ドル(前年同期比78.7%減)、3位は倉庫・運輸で1億4,012万ドル(33.9%増)だった。件数では、小売り・卸売り(162件、43.4%増)、コンサル(88件、33.3%増)が続いた。不動産の認可額の減少は、ローン規制の引き締め、大手不動産企業幹部の不正発覚と逮捕などによる市場の低迷が影響しているとみられる。

国・地域別の認可額は、シンガポールが14億6,738万ドル(前年同期比18.5%減)で首位だった(添付資料表2参照)。2位は中国で5億1,282万ドル(40.5%減)、3位は香港で4億3,337万ドル(24.2%減)だった。日本は6位で2億6,941万ドル(50.2%減)だった。件数では韓国(144件、5.1%増)が首位で、中国(106件、45.2%増)、日本(98件、53.1%増)と続いた。

1~3月の出資・株式取得は、件数が前年同期比4.2%減の703件、金額が25.5%減の12億1,561万ドルで、直接投資の実行額(推計)は2.2%増の43億ドルだった。

(注)大規模な多国籍企業を対象に、活動場所を問わずに最低15%の法人税を課す仕組みで、各国で導入の検討が進む。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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