上半期の総電力消費量に占める再エネ比率が50%超に拡大

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2023年07月20日

ドイツの連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)とバーデン・ビュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)は627日、2023年上半期の国内総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合(暫定値)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同割合は前年同期(2022714日記事参照)から3ポイント増の約52%に拡大した(添付資料表参照)。

BDEWZSWは国内総発電電力量も発表、2023年上半期は2,659億キロワット時(kWh)と、前年同期2,983kWhから10.9%減となった。国内総発電電力量に占める再エネ由来の発電電力量の割合も、前年同期から5.3ポイント増の51.7%だった。「脱原発」のため国内の全ての原子力発電所が415日に停止したほか、化石燃料由来の発電電力量が減少した一方で、再エネ由来の発電量が1,375kWhと、前年同期の1,384kWhとほぼ同水準を維持したため、結果として再エネの割合が拡大した。再生エネ由来の発電電力量を電源別にみると、陸上風力が21.9%、続いて太陽光が12.4%、バイオマスが8.3%、洋上風力が4.3%、水力が3.7%、廃棄物発電が1.0%などだった。

BDEWの執行委員長のケルスティン・アンドレエ氏は、気候保護法で定める目標の2045年までの気候中立達成のためには、適切な規制枠組みのほか、専門技術に熟練した人材が不可欠と強調した。エネルギー業界では既に多くの企業が専門人材の確保に苦慮しており、この傾向は今後さらに一層悪化していく恐れがあると続けた。BDEWは専門人材確保の対策の一環として、若者や特に女性に水ビジネスやエネルギー分野でのキャリア形成に関心を抱いてもらえるよう、同分野でのキャリア形成や職業訓練の機会に関する情報を提供するウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設した。

また、ZSWの執行役員のフリトヨフ・シュタイス氏は、2045年までに気候中立を達成するには、2035年までに完全に再エネ由来の発電に移行する必要があり、これまでの再エネ拡大を上回るスピードで今後は再エネ拡大を進めなければならないとコメントした。なお、連邦政府は20224月に閣議決定した「イースター・パッケージ」(2022418日記事参照)で、再エネ発電を優先的に導入するよう法整備を進めるため、再生可能エネルギー法(EEG)と洋上風力エネルギー法に「再生可能エネルギーの設備は最優先の公益であり、公共の安全に資するもの」という条文を追加した(同パッケージによる改正法は大部分が202311日から施行)。

シュタイス執行役員はこのほかの課題として、送電インフラの整備や、出力変動の大きい再エネ発電のバックアップ、電力ピークを吸収するための選択肢として活用可能な水素技術の普及を挙げた。

(作山直樹)

(ドイツ)

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