法人発送による50ドル未満の個人消費用越境EC製品に対する輸入税が非課税に

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年07月12日

ブラジルでは8月1日から、越境EC(電子商取引)プラットフォーム経由で輸入される個人消費用商品のCIF価格(保険、送料込み)が50ドル未満の場合、発送者が法人・個人いかんにかかわらず輸入税率が60%から非課税となる。同非課税化は、6月29日付財務省省令第612号が翌30日に官報に公示され、明らかになった。

ただし商品流通サービス税17%負担が事実上、新たに発生

現在は、1999年6月24日付財務省規則第156号により、発送者と受取人が個人の場合のみ50ドル未満の取引が非課税だ(2022年4月7日記事参照)。今回の措置により、発送者が企業の場合も非課税の対象となる。ただし、輸入税が非課税となる条件として、越境ECプラットフォーマーは、財務省が今後設立する「レメッサ・コンフォルメ」というプログラムへの登録が求められ、各取引の詳細情報を財務省収税局と共有する必要がある。また、州税の1つであり、輸入時に課税される商品流通サービス税(ICMS)を納税する義務もある(注)。

フェルナンド・アダジ財務相は6月30日付現地紙「CNN ブラジル」へのインタビューで、「ICMSを支払わないプラットフォーマーが多いため、多数の州知事から指摘を受けている」とした上で、ICMSの脱税を防ぐ目的で「レメッサ・コンフォルメ」を導入する必要性を述べた。7月1日付現地紙「バロール」によると、財務省が輸入税を非課税とする措置は、越境ECプラットフォーマーが「レメッサ・コンフォルメ」に登録するよう働きかける狙いがある。また、アダジ財務相は6月30日付現地紙「CNN ブラジル」のインタビューで、将来的に新しい税率の輸入税を課す可能性もあると述べ、越境ECプラットフォーマーに対する徴税を強化する姿勢を示した。

7月1日付現地紙「エスタード」は、シティバンクが作成したレポートを引用し、輸入税を非課税とすることは越境ECプラットフォームでの買物をより魅力的にする一方で、国内小売企業は不利な立場に置かれると報じている。7月3日付現地紙「エスタード」は、国内小売企業から新たな省令(2023年6月29日付省令第612号)への批判が相次いでおり、裁判も検討されていると報じている。

(注)6月2日付全国州財務局長委員会(Comsefaz)の公式サイトによると、全州政府は越境ECにおけるICMSの税率を17%にすることに合意した。この税率は、財務省傘下の全国財政政策審議会(Confaz)に伝えられ、Confazの6月22日付ICMS協定第81号によって施行された。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

ビジネス短信 58e3f6dbd0babcfd