ベトナムのビンファスト、米ノースカロライナ州EV工場の着工決定、2025年の稼働を目指す

(米国、ベトナム)

アトランタ発

2023年07月21日

ベトナムの大手複合企業のビングループ傘下で、電気自動車(EV)メーカーのビンファストは7月19日、米国ノースカロライナ州チャタム郡に設立するEV組み立て工場の起工式を7月28日に行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社は2022年3月、ノースカロライナ州に同社にとって北米初の自動車組み立ておよびバッテリー製造工場を設立すると発表し、2024年7月の稼働を予定していた(2022年4月4日記事参照)。今回の発表によると、工場は第1段階で年間15万台の生産能力を持つように設計されており、2025年に稼働する予定だ。なお、EV製造工場の立地は、ノースカロライナ州にとって初めてとなる。

ビンファストのレ・ティ・トゥ・トゥイ最高経営責任者(CEO)は「ノースカロライナ州の新工場は、当社にとって重要なプロジェクトの1つだ。操業が開始すれば、新工場は当社の北米市場向けEVの主要供給元となり、生産と事業活動を最適化することができる。チャタム郡での工場建設が、米国のクリーンエネルギー経済の発展に貢献し、ノースカロライナ州のグリーンモビリティ戦略を支援する一助となることを期待している」と述べた。

報道によれば、同社は資金確保の課題に直面している(トライアングル・ビジネス・ジャーナル7月19日)。ビングループの創業者で会長のファム・ニャット・ブオン氏は2023年4月26日、ビンファストに25億ドルの資金提供を行うと発表した。また、ビンファストは、米国での新規株式公開(IPO)を目指して2022年にナスダック市場に上場申請していたが、2023年5月に特別目的買収会社(SPAC、注)のブラック・スペード・アクイジションとの合併を通じて米国市場での上場を目指すと発表した(2023年5月23日記事参照)。しかし、ブラック・スペード・アクイジションの株主は7月13日に、ビンファストとの合併期限を2024年7月20日まで延長することを決議しており、それまでに本合併に関して株主による投票を行う予定となっている(ロイター7月13日)。

(注)特定の事業を持たず、未公開会社や事業を買収することだけを目的とした特別買収目的会社。上場したSPACは、実際の事業を持った未公開企業と合併することで未公開企業の株式を市場に流通させる。

(吉田祥子)

(米国、ベトナム)

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