ベトナムのビンファスト、米ノースカロライナ州のEV新工場建設に最大20億ドルを投資

(米国、ベトナム)

米州課

2022年04月04日

米国ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は3月29日、ベトナム唯一の自動車メーカーであるビンファストが同州に電気自動車(EV)の生産工場を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、北米初の自動車組み立ておよびバッテリー製造工場の拠点としてノースカロライナ州に進出し、7,500人を雇用する予定だ。投資額は最大20億ドルで、初めて自動車生産工場を迎え入れる同州にとって史上最大の経済開発となる。

クーパー知事は「わが国のクリーンエネルギー経済が急成長する中、ノースカロライナ州はその中心になりつつある。ビンファストのプロジェクトはわが州に多くの雇用をもたらすとともに、EVの増加により温室効果ガスの排出量は削減され、より良い環境をもたらすだろう」と述べた。工場は許可が下り次第、建設され、2024年7月の稼働を目指している。同社は、この工場で年間15万台の生産を見込んでおり、今後も複数の段階に分けて投資し続ける方針だ。

ビンファストは、ベトナムの複合企業最大手ビングループの子会社として、2017年に設立された。同社は自動車で25万台、電動スクーターで50万台の年間生産能力を有しており、新興企業として注目を集めている。これから建設されるノースカロライナ州の工場では、7人乗りのスポーツ用多目的車(SUV)タイプのEVであるVF9と、5人乗りの同種EVであるVF8が生産される予定だ。いずれも、2022年2月28日~3月3日にスペインのバルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレスで発表された最新モデルで、欧米市場で展開される見通しとなっている。

米国のジョー・バイデン大統領は、EVの普及に力を入れている。2021年11月15日に成立した超党派のインフラ投資雇用法は、全米各地にEV用充電器を設置するために75億ドルの予算を計上し、そのうち50億ドルはインフラ重点道路の多い地域を中心に、各州に割り当てられる(2022年2月16日記事参照)。また、米国運輸省は温室効果ガス削減対策の一環として、燃費基準を満たさない自動車メーカーに対する罰金額を引き上げた上で、トランプ前政権による適用の先送りを差し戻し、2019年以降に製造された自動車に対して同規則を適用することに決定した(2022年4月1日記事参照)。ビンファストのノースカロライナ州進出は、EV化を推進する米国の需要に一致しており、歓迎を受けている。

(片岡一生)

(米国、ベトナム)

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