3月の貧困率9.36%、新型コロナ禍以降で最低
(インドネシア)
ジャカルタ発
2023年07月25日
インドネシア中央統計庁(BPS)は7月17日、2023年3月時点の貧困率を発表した。9.36%で、前回調査(2022年9月)と比べて0.21ポイント、前年同月比では0.18ポイント減少した。3月の貧困層数は2,590万人と、2022年9月時点から46万人、2022年3月時点から26万人減少した。新型コロナウイルス流行前の水準には至らないものの、流行以降では最も低い水準となった。なお、3月の貧困水準は、1人当たりの月額支出で55万458ルピア(約5,174円、1ルピア=約0.0094円)だった。
都市部と農村部に分けた貧困層の割合では、都市部が前回調査時点と比べて0.24ポイント減の7.29%、農村部は0.14ポイント減の12.22%だった。貧困線の支出構成に占める食費では、都市部が3.39%増の41万5,588ルピア、農村部が2.14%増の39万9460ルピア、食費の内訳としてはコメの支出が最も多く、都市部で19.35%、農村部で23.73%だった。
BPSの報告書では、2022年9月~2023年3月の期間に貧困率に影響を与えた要因として、2023年2月の完全失業率5.45%で、2022年8月の完全失業率(5.86%)に比べて改善したこと(2023年5月15日記事参照)や、低調な物価上昇率、政府の社会扶助プログラムが貧困層の支出負担を軽減していることなどを挙げている。
BPSのアトコ・マルディヤント首席秘書官は「貧困層人口と貧困率は新型コロナウイルス流行の影響などで一時的に上昇していたが、それ以降は低下傾向にある。一方で、貧困率は2021年9月に比べると低いものの、まだ新型コロナ流行前の状態には回復していない」と述べた(「ビスニス」7月18日)。
スリ・ムルヤニ財務相は2023年5月、インドネシアの貧困率を2024年に6.5%~7.5%の範囲まで低下させることを目指すと述べている(「アンタラ」5月19日)。
(八木沼洋文)
(インドネシア)
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