米テック企業が安全なAI開発を約束、バイデン政権が発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月25日

米国のバイデン政権は7月21日、人工知能(AI)開発で先行する米国企業7社がAIの安全な開発のための自主的な取り組みを約束したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。取り組みにはアマゾン、アンスロピック、グーグル、インフレクションAI、メタ、マイクロソフト、オープンAIが参加する。

各社は安全性、セキュリティー、信頼性という3つの原則に基づいて、8つの取り組みを約束した。安全性に関しては、AIシステムを公開する前にバイアス(偏見)などに関わるテストを実施し、リスク管理に関する情報を産業界や政府、学会などと共有する。セキュリティーの確保では、サイバーセキュリティー対策やAI開発に関わる知的財産の保護などを行う。信頼性については、コンテンツがAIによって生成されたことを利用者が認識できるよう、電子透かし(注)などの仕組みを開発するほか、気候変動対策などに寄与するAIシステムの研究開発支援なども行われる。

ホワイトハウスの発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、各社は強制力のある規制が導入されるまで、今回の取り組みを続ける。バイデン大統領は同日、「(AIがもたらす)リスクを管理してAIの有望性を実現するには、新しい法律、規制、監督が必要になる」との考えを示した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。適切な立法措置や規制策定のために民主、共和両党と協力すると言明し、チャック・シューマー上院院内総務(民主党、ニューヨーク州)らが超党派でAI法案の策定に取り組んでいることを評価した。政権は現在、議会の動きと並行してAIに関する大統領令を準備中という。

ホワイトハウスの発表を受け、シューマー議員は声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、AIの課題などに対処するには、政権による今回の取り組みを基礎とし、それを拡大する法案が必要と主張した。同議員は6月、AI法案のための行動枠組みとして「SAFEイノベーション・フレームワークPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を提案した(2023年6月22日記事参照)。議会では、シューマー議員を含む超党派のグループが主導し、上院議員向けにAIの現状や国家安全保障への影響に関するブリーフィングを開催するなど、AIの活用と規制を巡る議論が活発化している。

(注)データやファイルに著作権者や使用許諾先といった情報を埋め込む技術。著作権の保護や不正コピーの検知などに用いられる。

(甲斐野裕之)

(米国)

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