ジェトロ、サイバーセキュリティー制度と個人情報越境移転解説セミナー開催

(中国、日本)

上海発

2023年07月12日

ジェトロは7月4日、中国華東地域の日系企業に向けて、中国サイバーセキュリティーの全体像と当該法の個人情報越境移転手続きに関するセミナーを開催した。ジェトロ北京事務所電子情報産業部長兼電子情報技術産業協会北京事務所長の吉池直樹氏と、安傑世澤法律事務所の金日華パートナー弁護士が登壇した。会場とオンラインのハイブリッド形式で120人以上が参加した。

第1部で吉池氏が中国のサイバーセキュリティーに関する概念や法制度の概要を説明した。中国では近年、「サイバーセキュリティー法」「データセキュリティー法」「個人情報保護法」の「データ3法」が相次いで施行されており、中国に進出している企業はこの3法に基づいて、社内の個人情報などの管理や越境移転に係る規定順守が求められている。個人情報保護法に基づいて外国企業が処罰されたとして、中国の配車サービス大手の滴滴全球(DiDi Global)の事例などを紹介し(2022年7月25日記事参照)、日系企業も早急に対応する必要があるとした(ジェトロの2021年11月18日調査レポート「中国におけるサイバーセキュリティー、データセキュリティーおよび個人情報保護の法規制にかかわる対策マニュアル」も参照)。

第2部では金パートナー弁護士が個人情報越境移転に関する手続きや、標準契約規則上の主な対応事項、実務上の留意点などを解説した。企業で個人情報越境移転を実施している場合、標準契約規則の完全施行となる2023年12月1日までに手続きを完了する必要がある。自主評価を実施の上、標準契約の締結と当局への届出手続きとなるが、作業分量が多く、問題の是正対応などに時間を要することから、速やかに対応を進める必要があると呼びかけている。

質疑応答では、個人情報越境移転の標準契約の適用対象や、作業の進め方などついて具体的な質問が数多く寄せられ、対応方法の関心の高さがうかがえた。

(陳航宇)

(中国、日本)

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