中国当局、個人情報保護法などの違反で滴滴に80億元の罰金
(中国)
上海発
2022年07月25日
中国の国家インターネット情報弁公室は7月21日、「インターネット安全法」「データ安全法」「個人情報保護法」などに基づき、中国の配車サービス大手の滴滴出行に80億2,600万元(約1,605億2,000万円、1元=約20円)の罰金を科すと発表した。
同日に行われた同弁公室の担当者の記者会見によると、16項目の違法行為がみられたという。主な内容は以下の8項目のとおり。
- ユーザーの携帯電話のアルバムからスクリーンショット情報の違法収集、1,196万3,900件。
- ユーザーのクリップボードとアプリケーションリスト内の情報の過度な収集、83億2,300万件。
- 顔認証による乗客情報の過度な収集1億700万件、年齢階層情報5,350万9,200件、職業情報1,633万5,600件、親族関係情報138万2,900件、家と会社の住所情報1億5,300万件。
- 乗客の運転代行サービス評価時と、アプリケーションのバックグラウンド実行時、携帯電話の記録装置接続時での正確な位置(経緯度)情報の過度な収集1億6,700万件。
- 運転手の学歴情報の過度な収集14万2,900件、運転手の身分証明書情報の不適切な取り扱い5,780万2,600件。
- 乗客への告知なしの移動情報539億7,600件、常駐都市の情報15億3,800万件、出張・観光情報3億400万件の収集・分析。
- 配車サービスの利用者に対する無関係な「電話権限」の頻繁な請求。
- ユーザーの機器情報など19項目の個人情報取り扱い目的を正確かつ明確に説明していないこと。
中国では2021年9月に「データ安全法」、11月に「個人情報保護法」が施行されているが(2021年6月18日記事、2021年8月26日記事参照)、滴滴出行は初めて罰金が科された事例となった。罰金が高額に上った理由について、国家インターネット情報弁公室は、(1)滴滴出行に対して是正を命じたものの、その後も改善を行わず、極めて悪質、(2)違法行為が2015年6月から現在に至るまで7年にわたって継続、(3)顔認証、住所情報、身分証明書などに係る個人情報の違法処理件数が647億900万件と膨大な規模に達していたことなどを挙げた。
今後の取り締まりの重点方向と分野について、国家インターネット情報弁公室は、インターネット安全、データ安全、個人情報保護などの分野で法執行を引き続き強化し、典型案件の公表も強化していくと表明した。
(宋青青)
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