カナダ中銀、政策金利を0.25ポイント引き上げ5.0%に、2会合連続

(カナダ)

トロント発

2023年07月13日

カナダ中央銀行は7月12日、政策金利を0.25ポイント引き上げ5.0%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、併せて経済の見通しを示す政策金利報告書を公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。利上げは前回6月(2023年6月8日記事参照)に続いて2会合連続となる。

中銀はカナダ経済について、予想以上に好調で需要超過が続いているとした。住宅市場については、物件の供給の遅れから価格圧力が高まっているとした。労働市場については、移民による人口増加が労働力不足解消に貢献しているものの、依然として逼迫した状況が続いているとした。さらに、人口増加が個人消費を押し上げ、住宅需要を増加させていることも需要増加の一因として挙げた。一方で、利上げが経済成長を鈍化させるため、実質GDP成長率は2023年の1.8%、2024年の1.2%を経て、2025年に2.4%に回復すると予想した。

また、2023年5月の消費者物価指数(CPI)が3.4%上昇と直近のピークの8.1%上昇から低下していることについては(2023年6月28日記事参照)、物価上昇が緩和基調にあるというよりも、エネルギー価格の下落によるところが大きいと説明した。さらに、物価上昇率は向こう1年間3%前後で推移した後、2025年半ばにかけて2%の目標値まで徐々に低下すると予想した。これは当初の予想よりも遅いペースで、「物価安定の回復が危ぶまれる」ことを引き続き懸念しているとした。

発表を受け、CIBCキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「(中銀の発表では)目先のGDP成長率に対する予想が最近の政策金利報告書(注)の典型的な水準より高く設定され、CPI上昇率が目標値に戻るまでに要する期間が長くなると中銀が予想していることから、今後、経済(成長)は中銀の現在の予想を下回り、CPI上昇率が中銀の予想より早く目標(の水準)に戻る可能性が高まっている。ただし、この予想を下回るような経済成長は、(次回政策金利発表の)9月会合での0.25ポイントの追加利上げを阻止できるほど早くは起きないだろう。一方で、こうした最近の利上げが、CPI上昇率の目標値までの低下に過剰に作用する可能性もあるため、当行では2024年の最初の利下げ時期の予想を従来の6月から4月に若干前倒しした」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ7月12日)。

次回の政策金利発表は9月6日に予定されている。

(注)政策金利報告書は毎年1月、4月、7月、10月に発行される。ここでは、2023年4月までの報告書を指す。

(飯田洋子)

(カナダ)

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