5月のカナダ消費者物価指数、前年同月比3.4%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年06月28日

カナダ統計局が6月27日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比で3.4%上昇と、4月の上昇率(4.4%、2023年5月17日記事参照)を1.0ポイント下回り、2021年6月以来最小の上げ幅となった。統計局は、2022年春に高騰したガソリン価格の低下によって、物価の上昇が抑えられたと分析している。一方で、物価上昇の最大の要因は、住宅ローン金利コストの上昇と指摘している(添付資料表参照)。

品目別では、エネルギー価格が、ロシアのウクライナ侵攻を巡る供給不安により大幅に上昇した前年同月と比べ12.4%下落した。中でも、ガソリン価格は18.3%減となり、天然ガス価格(3.5%減)もエネルギー価格の上昇率の減速に寄与した。

また、家庭関連・家具・器具費用の伸びの軟化も、CPI全体の上げ幅減少に寄与した。5月は前年同月比1.1%の上昇にとどまり、このうち耐久消費財は1.0%上昇と2020年5月以降で最小となった。統計局は、1年前と比較してサプライチェーンの圧力が緩和しており、伸びの軟化につながっていると説明している。

一方、5月の住居関連費用は前年同月比で4.7%上昇し、このうち住宅ローン金利コストは29.0%上昇と、3カ月連続で過去最高の上昇率になった。また、食料品は前月比横ばいの8.3%上昇となった。このうち家庭用食品は9.0%上昇と、4月(9.1%上昇)からほぼ横ばいだった。

発表を受けて同日、モントリオール銀行(BMO)のマネジング・ディレクター、ベンジャミン・レイツ氏は「コアインフレが依然として高止まりしており、長期的に鈍化する兆候がまだ見られないことから、今回の発表はカナダ中央銀行の政策担当者にとって大きな安堵(あんど)とはならないだろう。7月利上げの可能性はやや低くなったかもしれないが、今後2週間、ほかのデータに変化がなければ、利上げの可能性はまだありそうだ」とコメントした(BMOエコノファクツ6月27日)。

中銀の次回政策金利の発表は7月12日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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