5月のGDP成長率は前年同月比5.4%、前年からの反動増の影響が続く

(ロシア)

調査部欧州課

2023年07月13日

ロシア経済発展省の発表(6月28日)によると、2023年5月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比5.4%(前月伸び率より2.0ポイント増)(添付資料表参照)となった。建設業が堅調に推移したことや、前月に続きウクライナ侵攻後に急減した小売りや製造業の反動増が影響した。一方、貨物輸送は引き続きマイナス成長だった。

5月の鉱工業生産は前年同月比7.1%増だった。鉱業の伸び率は前月から1.2ポイント減の1.9%だった。このうち、石炭採掘が6.3%増(前月より2.1ポイント減)、金属資源採掘が2.5%減(前月より3.0ポイント減)、その他の資源採掘2.4%増(前月より14.8ポイント増)、鉱業分野のサービス部門が1.6%増(前月より2.0ポイント減)となった。

製造業は、ベース効果(注)の影響で伸び率は前月から4.8ポイント改善し、12.8%増だった。機械製造業が自動車、コンピュータ・電子機器の回復を背景に44.6%増(前月より30.2ポイント増)、冶金・金属加工業が14.7%増(前月より3.7ポイント増)と好調に推移したことが製造業全体の伸びに寄与した(2023年5月18日記事参照)。

5月の自動車生産は前年同月比86.3%増で、伸び率は前月から59.0ポイント増と大幅に改善した。自動車調査会社アフトスタト(6月5日)によると、5月の乗用車新車販売台数は前年同月比2.6倍の7万2,171台だった。連邦国家統計局によると、5月の自動車生産台数は前年同月比11.3倍の4万2,200台だった。1~5月では前年同期比42.0%減の15万5,000台だった。

建設業は前年同月比13.5%増(前月より7.8ポイント増)とプラスで推移している。農業も2.9%増(0.3ポイント減)だった。一方、貨物輸送は前年同月比4.6%減(前月より1.6ポイント減)だった。

労働市場は安定しており、5月の失業率は3.2%だった。実質賃金は、4月が前年同月比10.4%増だった。マクシム・レシェトニコフ経済発展相は、2023年の実質賃金の伸びは5%を超えるだろうと見方を示した(タス通信6月29日)。

小売商品売上高は前年からの反動増の影響で、前年同月比9.3%増(前月より1.5ポイント増)だった(2022年8月16日記事参照)。産業商務省のビクトル・エフトゥホフ次官は、小売りの通年の伸び率が経済発展省の見通し5.3%を若干上回るだろうと述べた(インターファクス通信6月15日)。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局が、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(注)比較対象の水準が低く、対前年同月比の上昇率が高く算出された。

(小野塚信)

(ロシア)

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