子供の肥満率、新型コロナ禍前の水準に改善も、依然高水準

(チリ)

サンティアゴ発

2023年07月18日

チリの国家教育扶助・奨学金評議会(JUNAEB)は、国内にある7,257の教育機関に通う45歳、56歳、67歳、1011歳、1415歳の生徒(注)776,461人(うち有効回答は632,889人分)を対象に実施した栄養状態についての調査結果を発表した。

同調査によると、2022年に「肥満」に分類された生徒の割合は前年から2.4ポイント減となり、「重度の肥満」の割合も2.5ポイント減少した(添付資料表参照)。それに伴い「普通体重」は前年から7.1ポイント増加し、41.4%となったものの、依然として調査対象者の半数を上回る53.0%が「過体重」「肥満」「重度の肥満」に分類される。

年齢別では、1011歳の生徒の肥満率が最も深刻で、「肥満」と「重度の肥満」を合わせると35.6%となった。次いで、67歳(28.8%)、56歳(26.1%)の順で、1415歳(20.5%)の肥満率が最も低かった。性別でみると、「重度の肥満」または「肥満」に分類される男子生徒は、女子生徒よりそれぞれ3.9ポイント、2.0ポイント高い結果だった。対象生徒をチリ人と外国人に分けると、チリ人では「重度の肥満」「肥満」「過体重」を合わせると54.3%だったが、外国人は36.5%で、両者には17.8ポイントも差があることが分かった。地域別では、これまでの傾向と同じく、チリ中部から南部での肥満率が高く、都市部と農村部では農村部の肥満率が高かった。

2020年と2021年に実施された調査では、新型コロナウイルスの流行による学校の対面式授業の中断や、長期にわたった行動制限など衛生措置の影響を受け、子供の肥満率の大幅な増加がみられていた。2022年は新型コロナ拡大以前の2019年の水準にまで落ち着いたものの、依然として危機的な状況にあるとJUNEABは警告しており、子供の栄養状態の悪化を阻止するための総合的な教育環境を整える必要があるとしている。

(注)学年による区分。45歳がプレ・キンデル(pre-kínder)、56歳がキンデル(kínder)、67歳がプリメロ・バシコ(1°básico)、1011歳がキント・バシコ(5°básico)、1415歳がプリメロ・メディオ(1°medio)の生徒となる。

(岡戸美澪)

(チリ)

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