2022年の中東での石油生産は前年比9.2%増の日量3,074万バレル

(中東、サウジアラビア、イラク、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、イラン、日本、中国、米国、ロシア)

調査部中東アフリカ課

2023年07月14日

英国のエネルギー関連団体であるエネルギー研究所(Energy Institute)が6月26日に公表した報告書「世界エネルギー報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2022年の石油生産量は、世界全体では前年比4.2%増の日量9,385万バレルとなった。中東(注)での生産量は9.2%増の日量3,074万バレルで、世界シェア32.8%を占めた。

国別では、米国が前年比6.5%増の日量1,777万バレルで最大だった。サウジアラビアが10.8%増の日量1,214万バレル、ロシアが1.8%増の1,120万バレルと続いた。石油生産国トップ10の日量と世界シェアは次のとおり。

  • 米国:日量1,777万バレル(世界シェア18.9%)
  • サウジアラビア:日量1,214万バレル(同12.9%)
  • ロシア:日量1,120万バレル(同11.9%)
  • カナダ:日量558万バレル(同5.9%)
  • イラク:日量452万バレル(同4.8%)
  • 中国:日量411万バレル(同4.4%)
  • アラブ首長国連邦(UAE):日量402万バレル(同4.3%)
  • イラン:日量382万バレル(同4.1%)
  • ブラジル:日量311万バレル(同3.3%)
  • クウェート:日量303万バレル(同3.2%)

原油輸出量はサウジアラビアが最大、主要輸出先は中国と日本

同報告書によると、2022年の原油輸出量は世界全体で21億2,910万トンのところ、国別ではサウジアラビアが最大で3億6,480万トンとなった。ロシアが2億6,470万トン、カナダが2億30万トン、イラクが1億9,100万トン、米国が1億7,290万トン、UAEが1億7,290万トンと上位につけた。サウジアラビアからの輸出は、中国向けが最大で8,750万トン、日本向けが5,250万トンとなった。UAEからの輸出は、日本向けが最大で4,920万トン、中国向けが4,280万トンの順だった。

2022年の原油価格は、北海ブレントが1バレル当たり年間平均約101ドルで前年比40%増となった。これにより、産油国の石油収入が増え、産油国のGDP成長率の押し上げにつながった。世界銀行によると、2022年のGDP成長率はサウジアラビアが8.3%、UAEは5.9%と高かった(2023年1月16日記事参照)。一方、原油価格は2022年6月に120ドルをつけて以降は下落基調にあり、2023年は1バレル当たり70ドル前後まで低下している。OPEC諸国では原油価格の下支えのために協調減産を続けている(2023年6月5日記事参照)。

なお、エネルギー研究所の報告書によると、中東産油国では1人当たりエネルギー消費量が多く、カタールが世界最多、UAEが2位、クウェートが5位となった。カタールは人口が少ない中、石油生産で世界14位、天然ガス生産では世界6位だ(2023年7月13日記事参照)。

(注)同報告書では、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、レバノン、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、UAE、イエメンを中東に含む。

(井澤壌士)

(中東、サウジアラビア、イラク、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、イラン、日本、中国、米国、ロシア)

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