2022年の中東・北アフリカの成長率は5.7%、2023年は3.5%に減速

(中東、アフリカ、イラク、クウェート、サウジアラビア、イラン)

中東アフリカ課

2023年01月16日

世界銀行が1月10日に発表した「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、世界のGDP成長率の推計は2022年に2.9%だったが、中東・北アフリカ(MENA)地域では5.7%の成長を見せた。2022年6月時点の世界銀行の報告書では、成長率は6.1%との見通しだったが、今回は0.4ポイントの下方修正となった。世界では2023年に1.7%、2024年に2.7%と低成長の見込みの中、MENA地域でも2023年は3.5%、2024年に2.7%と成長が減速する見込みだ。

2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、油価が高騰したため、MENA地域のうち、石油輸出国は6.1%、中でも湾岸諸国(GCC)は6.9%と高い成長率を示した。国別ではイラクが8.7%、クウェートが8.5%、サウジアラビアが8.3%と高成長となった。2023年は油価の下落の兆しもあり、MENAの石油輸出国で3.3%、GCCでも3.7%と減速が見込まれる。産油国のうちイランでは、米国制裁や政治・経済の混乱もあり、2022年度(2022年3月~2023年2月)の成長率は6月時点の世銀報告から0.8ポイント下方修正し、2.9%となった。

世界銀行によるMENA地域の石油輸出国の2022年の成長率(推計)は以下のとおり。

【GCC】

  • クウェート:8.5%
  • サウジアラビア:8.3%
  • アラブ首長国連邦(UAE):5.9%
  • オマーン:4.5%
  • カタール:4.0%
  • バーレーン:3.7%

【その他の石油輸出国】

  • イラク:8.7%
  • アルジェリア:3.7%
  • イラン:2.9%

MENA地域の石油輸入国・地域(ジブチ、エジプト、ヨルダン、チュニジア、パレスチナ地区)の成長率は、油価などには左右されず、2022年は4.1%、2023年に4.1%、2024年に4.3%と安定的な成長を見込んでいる。シリアでは2022年の成長率はマイナス3.2%、レバノンでは同マイナス5.4%と、政治の混乱が続く両国の経済は縮小した。

(井澤壌士)

(中東、アフリカ、イラク、クウェート、サウジアラビア、イラン)

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