2022年の中東での天然ガス生産はイランが最大、LNG輸出はカタールが最大

(中東、イラン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、日本、米国、中国、ロシア)

調査部中東アフリカ課

2023年07月13日

英国の国際的なエネルギー関連団体であるエネルギー研究所(Energy Institute、EI)が6月26日に公表した報告書「世界エネルギー報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2022年の天然ガスの生産量は前年比0.2%減の4兆438億立方メートルだった。中東での生産量合計は2.1%増の7,213億立方メートルで、世界シェア17.8%を占めた(注)。

国別の天然ガス生産量をみると、米国が前年比3.6%増の9,786億立方メートルと最大で、世界シェア24.2%だった。ロシアが11.9%減の6,184億立方メートル、イランが1.1%増の2,594億立方メートル、中国が6.0%増の2,218億立方メートルと続いた。中東の主要な天然ガス産出国の世界順位と生産量の世界シェアは次のとおり。

  • イラン:3位、シェア6.4%
  • カタール:6位、シェア4.4%
  • サウジアラビア:9位、シェア3.0%
  • アラブ首長国連邦(UAE):14位、シェア1.4%
  • オマーン:17位、シェア1.0%

LNGの最大輸出国はカタール、最大消費国は日本

同報告書によると、液化天然ガス(LNG)の貿易額は世界全体で前年比5.2%増の5,424億立方メートルだった。2021年には最大の輸入国だった中国が2022年は15.2%減となり、日本が983億立方メートルで世界シェア18.1%を占める最大の輸入国になった。日本の輸入量はオーストラリアからの419億立方メートルが最大だったが、中東ではカタールから39億立方メートル、オマーンから34億立方メートル、UAEから18億立方メートルとなった。

LNGの最大の輸出国はカタールで、前年比6.7%増の1,141億立方メートル(世界シェア21%)となった。オーストラリアが1,123億立方メートル、米国が1,043億立方メートルと続いた。カタールからのLNGの最大の輸出先は248億立方メートルの中国、オマーンからの最大の輸出先は69億立方メートルの韓国、UAEからの最大の輸出先は38億立方メートルのインドだった。

パイプラインでの輸出は減少、価格は記録的な高水準

パイプラインでの天然ガスの世界の輸出量は前年比15%の減少となった。ロシアからの輸出が38%減少したが、中東からの輸出では12%増加した。中国ではLNGの輸入は減少したが、パイプラインでの輸入は増加したという。2022年の天然ガス価格は記録的な高水準となり、オランダTFF価格は年間平均で100万英熱量単位(MMBtu)当たり約37ドルと前年比で2.3倍以上に上昇した。このため、輸出量は減少しても輸出金額が増加した国もある。

(注)同報告書では、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、レバノン、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、UAE、イエメンを中東に含む。

(井澤壌士)

(中東、イラン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、日本、米国、中国、ロシア)

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