上海市の上半期GRP成長率は9.7%、新型コロナ沈静化で回復傾向に

(中国)

上海発

2023年07月27日

中国の上海市統計局は7月20日、同市の2023年上半期(1~6月)の主要経済指標を公表した(添付資料表参照)。実質域内総生産(GRP)の成長率は前年同期比9.7%の2兆1,390億元(約42兆7,800億円、1元=約20円)となった。2022年3月末から新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖で、経済活動が停滞していたが、2023年はその反動もあり、回復傾向にあることがうかがえる(2022年7月22日記事参照)。

生産、消費、投資などの主要経済指標は大幅に上昇した。上半期の一定規模以上の企業(注)による鉱工業生産高は前年同期比11.8%増と、1~3月期のマイナス成長から持ち直した。うち、自動車(21.3%増)、電気機器(37.5%増)、一般設備製造業(22.7%増)などが堅調に伸びている。製品別では、半導体ストレージ(2.8倍)、新エネルギー車(65.7%増)、3Dプリンター(37.3%増)の生産量が急増した。

社会消費品小売総額は前年同期比23.5%増となった。ゼロコロナ政策の終了によりホテル・飲食業は55.7%増、卸業・小売業は21.4%増と好調だった。固定資産投資は37.2%増となり、工業投資(34.3%増)、不動産投資(37.5%増)、インフラ投資(21.5%増)がプラス成長となった。

貿易総額は前年同期比11.4%増の2兆926億元だった。うち、輸出は15.2%増と、2021年(9.6%増)、2022年(4.8%増)の伸び率を上回った一方、輸入は9.1%増と、2021年(25.4%増)の伸び率にはおよばなかった。主要輸出先では、EU向けが26.6%増、日本向けが22.7%増、香港向けが16.0%増と大幅に伸びたが、米国向けは0.2%増と微増だった。

一方、上海市の経済動向には懸念要素もある。6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比0.1%だったが、前月比ではマイナス0.4%と2カ月連続のマイナス成長となった。また、6月の生産者物価指数(PPI)上昇率も前年同月比マイナス1.7%、前月比マイナス0.7%とデフレ圧力がやや高まっている。

(注)売上高が年間2,000万元以上の工業企業。

(劉元森)

(中国)

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