上海市の上半期の実質GRP、前年同期比5.7%減、封鎖管理で経済失速

(中国)

上海発

2022年07月22日

上海市統計局の718日の発表によると、2022年上半期(16月)の実質域内総生産(GRP)の成長率は前年同期比マイナス5.7%となった(添付資料表参照)。マイナス成長は、新型コロナウイルスによる打撃を初めて受けた2020年以来で、全国31省・自治区・直轄市で2番目に低い水準となった。とりわけ、46月期の成長率はマイナス13.7%と、13月期のプラス3.1%から大幅に悪化しており、3月末からの封鎖管理によって経済活動が大きく停滞したことがうかがえる。

生産、消費、投資などの主要経済指標はいずれも失速した。上半期の一定規模以上の企業(注)による工業生産高は前年同期比9.7%減と、13月期の4.8%増から悪化した。ただし、情報通信機器(5.0%増)や自動車(0.4%増)など伸び率がプラスを維持した業界もある。また、新エネルギー車分野の生産高は、従業員が工場に泊まり込みで生産を続けたテスラなどに牽引され、57.2%増と大きく増加した。

社会消費品小売総額は前年同期比16.1%減となった。電子商取引(EC)は0.9%増とかろうじてプラスを維持したが、厳しい行動規制によって接触型の消費は打撃を受けており、ホテル・飲食業は33.1%減の大幅減となった。

固定資産投資は前年同期比19.6%減だった。工業投資(21.1%減)、不動産投資(17.1%減)、インフラ投資(38.1%減)のいずれも、13月期のプラス成長から悪化した。貿易総額は0.6%減の18,7725,000万元(約375,450億円、1元=約20円)だった。うち輸出(4.8%増)は引き続き拡大しているが、輸入(3.8%減)は個人消費の落ち込みなどで減少に転じた。

経済の急失速で住民1人当たり可処分所得は前年同期比3.4%減少し、雇用も悪化した。都市調査失業率は全国で最も高い8.9%に上昇した。このうち46月期は12.5%と、香港・マカオを除く31の行政区の中で唯一2桁台となった。

上海市は61日に封鎖管理を解除し、足元の経済は持ち直しつつあるが、2022年通年の成長目標5.5%の達成は困難となる可能性がある(2022年1月28日記事参照)。

(注)売上高が年間2,000万元(約4億円、1元=約20円)以上の工業企業。

(劉元森)

(中国)

ビジネス短信 fe066e9eb02d5afe