米国とインドが重要技術協力の対話開始、半導体の民間タスクフォースも立ち上げ

(米国、インド)

ニューヨーク発

2023年02月07日

米国とインドの両政府は1月31日、米印重要新興技術イニシアチブ(iCET)の第1回会合を米国の首都ワシントンで開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

iCETは、ジョー・バイデン大統領とナレンドラ・モディ首相が2022年5月に日本で首脳会談を行った際に発足に合意した取り組みで、先端技術分野における両国の産学官連携の緊密化を目的としている(2022年5月25日記事参照)。両国で国家安全保障担当の首脳補佐官を務めるジェイク・サリバン氏とアジト・ドバル氏が議長役を務め、米国航空宇宙局(NASA)やインド宇宙研究機関(ISRO)のトップなど科学技術分野の高官らが参加した。

会合では、(1)両国のイノベーションエコシステムの強化、(2)防衛分野のイノベーションと技術協力、(3)強靭(きょうじん)な半導体サプライチェーン、(4)宇宙、(5)科学・技術・工学・数学(STEM)分野の人材育成、(6)次世代の通信という6分野の協力推進が確認された。中でもバイオ技術や先端素材、レアアース加工技術を将来の協力分野として特定し、このような重要分野に関して展示会やハッカソン(注)、ピッチセッションなど「イノベーションの架け橋」を立ち上げる重要性を確認したとしている。

サリバン補佐官は会合の開催に当たり、「経済慣行や威圧的な軍事行動、未来の産業やサプライチェーンを支配しようとする試みなど、中国による大きな挑戦がインドの考え方に大きな影響を与えた」と発言したとされる(ロイター1月31日)。インドは米国が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」にも参加しており、両国間の経済協力が今後どう発展していくか注目される。両国政府は2023年後半にインドのニューデリーで次回の会合を開催予定としている。

半導体協力で民間タスクフォース発足

iCETで扱われる(3)強靭な半導体サプライチェーンについては、米国半導体産業協会(SIA)とインドエレクトロニクス・半導体協会(IESA)が1月31日、両国間の半導体エコシステムを強化するための民間主導のタスクフォースを立ち上げた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。このタスクフォースでは、産学官の関係者が集まって近い将来の協業機会を特定するほか、補完的な半導体エコシステムの長期的な戦略開発を促進し、半導体の製造を含む世界の半導体バリューチェーンにおけるインドの役割を高める機会と課題に対する提言などを行う。

(注)エンジニアなどが集まり、一定期間開発作業を行うイベント。

(磯部真一)

(米国、インド)

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