CPI上昇率が微増、通貨下落で製造業にとって厳しさ続く

(ケニア)

ナイロビ発

2023年06月12日

ケニア国家統計局は5月31日、2023年5月の消費者物価指数(CPI)上昇率を8.0%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。4月の7.9%(2023年5月9日記事参照)から微増となり、食料・飲料(10.2%)、アルコール飲料・たばこ(9.9%)、住宅・水・電気・ガス(9.7%)、交通(10.1%)など多くの項目で前月より微増となった。

ケニア中央銀行は5月29日の金融政策委員会において、政策金利を9.5%で維持することを決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。中央銀行は、燃料価格の高騰は続くものの、降雨により野菜の価格などが落ち着きつつあるとしているが、統計局のデータでは、砂糖(22.1%増)、ニンジン(6.3%増)、タマネギ(5.1%増)、豆(3.6%増)、メイズ(3.5%増)の価格は前月比で上昇している。価格が下がったのはケール(7.4%減)、キャベツ(5.7%減)、アボカド(4.4%減)などの品目にとどまった。

マクロ経済の脆弱(ぜいじゃく)さを反映し、2023年初以降、急激に通貨ケニア・シリングの下落が進行している。中央銀行の発表する中央値では、6月8日時点で1ドル=139.1シリングと、前年の同期比(2022年6月8日、116.95シリング)で19%下落、2023年初比(1月3日、123.42シリング)で12.7%下落し、シリングは対ドルで史上最低水準にある。シリングの下落に伴い、輸入価格は上昇傾向にある。

ケニアのスタンビック銀行が6月6日に発表した5月の製造業PMI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前月比で2.2ポイント上昇し49.4となったが、景気拡大と悪化の分岐点となる50を引き続き下回った。シリング安や燃料価格の高騰を受け、インプットコストが上昇するなど製造業にとって厳しい状況だとしている。

(佐藤丈治)

(ケニア)

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