CPI上昇率は7.9%に減速も、国民の不満は収まらず

(ケニア)

ナイロビ発

2023年05月09日

ケニア国家統計局は4月28日、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率を7.9%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月の9.2%から減速したものの、食料・飲料(10.1%)、アルコール飲料・たばこ(9.0%)、住宅・水・電気・ガス(9.6%)、交通(9.8%)など生活に直結する項目は依然として高水準にとどまり、物価高に対する国民の不満は一層高まっている。

こうした状況を背景に、2022年8月の大統領選挙で敗れたライラ・オディンガ元首相率いる野党連合による、政府に対する大規模な抗議行動が断続的に計画・実施されている。2023年3月に大規模な抗議行動があった後、4月は見送られたものの、直近では5月2日にも実施され、一部では破壊行為もあったと報道されている。

ケニア政府は物価抑制に向け、コメや食用油、砂糖、小麦などの主要な食料品の輸入について1年間の無関税枠を供与することを決定。また、石油製品について湾岸諸国との長期契約の締結に踏み切るなど、食料安全保障体制の強化や物価抑制策に取り組むが、その効果が出るには今しばらく時間を要する見込みだ。5月1日のメーデーには、物価上昇を背景に法廷最低賃金の引き上げが発表されるかどうかに関心が集まっていたが、財政状況の苦しい中、政府による発表はなかった。

(佐藤丈治)

(ケニア)

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