トヨタ、米ケンタッキー州で2025年からBEV生産へ

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月02日

トヨタ自動車は5月31日、米国ケンタッキー州のトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー(TMMK)で、2025年からバッテリー式電気自動車(BEV)の生産を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。生産車両は3列シートの新型スポーツ用多目的車(SUV)で、現在建設中の工場のトヨタ・バッテリー・マニュファクチャリング・ノースカロライナ(TBMNC)で生産するバッテリーを搭載する。同社は今回、TBMNCに対する21億ドルの追加投資も併せて発表した。同社は2026年までにグローバル市場にBEVを10モデル投入し、年間150万台販売する目標を掲げている。

米国では、2022年8月16日に成立したインフレ削減法(IRA)に基づき、クリーンビークル(注)購入者が1台当たり最大7,500ドルの税額控除を受けるには、購入車両の最終組み立てが北米で実施されている必要がある(2022年8月18日記事参照)。米国市場でシェアを拡大するために、米国内で生産を開始する意味は大きい。

ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事(民主党)は今回の発表に関して、「ケンタッキー州がEV(電気自動車)分野の中心地であることをさらに確固なものにする素晴らしいニュースだ。トヨタは長年にわたってケンタッキー州の自動車産業に不可欠な存在だったが、今回の発表はわれわれを未来に導くものだ」と歓迎した。また、ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は「トヨタによる今回を含めた総額60億ドル近い多額の投資は素晴らしいニュースで、ノースカロライナ州がクリーンエネルギー経済のリーダーであることをさらに証明するものだ。トヨタ社は将来の成功のために、われわれの世界クラスの労働力を信じており、この多大なコミットメントに感謝する」と述べた。

トヨタの北米統括会社トヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMNA)の小川哲男社長兼最高経営責任者(CEO)は「カーボンニュートラルの実現に向け、できる限り早く、できる限り多くの二酸化炭素(CO2)排出量を削減することを目指す」と述べた。同社は5月24日、再生可能エネルギー会社のサビオンと、ケンタッキー州マーティン郡の太陽光発電施設から電力を購入することで合意したと発表。これは、2035年までに北米の全事業をカーボンニュートラルにするという同社の計画に沿うものだ。

(注)BEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

(大原典子)

(米国)

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