香港企業の74%が人材不足に直面

(香港)

香港発

2023年06月15日

香港の主要な商工会議所の1つである香港総商会(HKGCC)は6月6日、4月17日から28日にかけて実施した人材不足に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。回答会員企業数は196社で、そのうち54%が200人以上の従業員を雇用、28%が50人以下の従業員を雇用している。回答会員企業を業種別でみると、銀行・金融業が10%、プロフェッショナル・サービス(会計士を除く)が9%、小売り・顧客サービス・事業開拓が8%を占めるなど所属する産業はさまざまだ。

調査結果によると、回答企業の74%が人材不足に直面し、うち61%が1~3年にかけて人材不足に悩まされていることが判明した。離職理由(複数回答可)は、「より高い給与を得るため」(79%)、「移民のため」(70%)、「ワークライフバランスのため」(51%)だった。

また、最も不足している人材の層は、20万香港ドルから50万香港ドル(約360万円から900万円、1香港ドル=約18円)の年間所得を得ている中堅レベルの職員(59%)だった。人材留保に向けた企業の取り組み(複数回答可)として、「より良い報酬の提示(賃金や福利厚生の向上を含む)」(83%)、「労働者への投資(再教育やスキルアップを含む)」(58%)、「人力依存の削減に向けた自動化への投資」(49%)が挙げられた。

一方で、回答企業の80%が、香港政府が実施する人材誘致計画(2023年5月25日記事参照)に申請していない。その理由として、「企業が求める職種に、政府の計画が適用されていない」と約半数(52%)の企業が回答した。

また、域外人材の活用に関する短期的な措置(複数回答可)として、「人材誘致計画の適用対象の拡大と申請処理の簡素化」(44%)と回答した企業が最も多かった。長期的な措置(複数回答可)としては、「域内人材問題に対する対象を絞った教育およびトレーニングの提供」(47%)が挙げられた。

香港総商会の梁兆基CEO(最高経営責任者)は、香港政府が実施する人材誘致計画の取り組みを認めつつも、中堅レベルや最前線の人々を誘致する取り組みをより積極的に進めるべきだとの認識を示した(「香港電台」6月6日)。

(松浦広子)

(香港)

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